夏休みに入ったその日の朝、兄と私は朝一番のバスで山のおじいちゃんちに行った。
バスに乗るためにはバス停まで電車で行かなくてはならなかった。
バスの終点から子供の足で小一時間歩いて、おじいちゃんちに着くと、
挨拶もそこそこに大きなクルミの木に行った。
大きなクルミの木は宝箱だった。
カブトムシやクワガタ、コガネムシがたくさんいた。
カブトムシやバッタを夢中で捕っていると、遠くからオートバイの音が聞こえてきた。
山の上のまた上の、ここより上に家がない・・・・そんな静かな山の中にいると、
何キロも下の道を走る車やオートバイの音が、山にこだまして聞こえてくる。
次第にオートバイの音は大きくなり、私たちの前で止まった。
家からバイクで来た父だった。
午後は父と一緒に近くの沢へ水遊びに行ったような気がする。