山のおじいちゃんちには囲炉裏があった。
ご飯の時には囲炉裏の周りに集まった。
囲炉裏の周りの板の間にはござが敷いてあり、おじいちゃんはいつも薪をくべる係だった。
一人一人の御膳はふたを開けるとご飯の茶碗とお味噌汁の茶碗とお箸が入っていて、
食べ終わると又その中にきれいに並べて蓋をした。
腰の曲がったおばあちゃんがソーセージをストン、ストンと切って、
私と兄だけにくれた。
お客さん用の唯一の肉類だから・・。
食事の時間には猫まで囲炉裏の周りに集まってくる。
「おじょうぶにおあがりないしょ。」と言っておばあちゃんがおかわりのご飯を持ってくる。
私は一度も使った事のない方言だけれど、丁寧な言葉で
「たくさん食べなさいよ」という意味で、
田舎ではたくさん食べるという事が、もてなしを喜んでいる証のようだった。