「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ステップ9 (2)

2009年09月09日 21時10分12秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

○激怒

 BPDの人は 感情に圧倒されて、

 感情を吐き出すために 荒れ狂わなければなりません。

 大切な人を遠ざけてしまうと 分かっていても、

 自分を保護するための 試みなのです。

 誰かに激怒する時には、 相手はもはや 感情を伴った人間ではなくなり、

 憎悪の対象であり 苦悩の原因でしか なくなってしまいます。

 多くの場合 BPDの人は、 もっと強力な感情 --

 つまり見捨てられ恐怖を 覆い隠すために、 怒りを使っているのです。

 怒りは 恐怖よりも単純で、 BPDの人を困惑させません。

 攻撃される前に 攻撃するのです。

 non-BPDの人は 激怒を容認できないということを、

 一貫して BPDの人に 行動で示さなければなりません。

 そうしないと BPDの人は 怒りが効果があると思い、

 激怒は 強化されてしまうでしょう。

 激怒に対して 個人的境界を設定しましょう。

 一時的に その場を離れることです。

 しかし 怒りの正体は 見捨てられ恐怖なので、

 non-BPDの人がいなくなると

 BPDの人は 脅かされてしまうかもしれません。

 その時は BPDの人に 選択権を与えましょう。

 落ち着くことを選べば、 non-BPDの人は その場にとどまります。

 怒る方を選べば、 その場を去ります。

 選ぶのは BPDの人です。

 境界設定をするのは BPDの人が 安定しているときです。

 去って行った場合も 必ず戻ってくるのだと、 BPDの人に 安心させましょう。

 そして 一貫性の重要さを 覚えておきましょう。

 今日、 怒りを受け入れないと言ったら、 明日も 受け入れてはいけないのです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ9 (1)

2009年09月08日 19時43分06秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

*「安定でない行動に 事前対処する 方法を計画し、

 必要な場合は 実行しましょう。」

 安全でない行動には、 乱暴, 激怒、 自傷, 自殺企図などがあります。

 前のふたつは アクティング・アウト、

 あとのふたつは アクティング・インのBPDの人に より多く見られます。

○暴力

 あらゆる身体的暴力を 非常に深刻に受け止めましょう。

 初めて起こったことでも、

 暴力はエスカレートする 潜在的可能性を持っています。

 DVの問題があるなら、

 シェルターや 危機介入プログラムからの助けを 即刻求めましょう。

 法的相談や警察の協力を 求めたりするのも良いでしょう。

 男性もまた 暴力を受けます。

 身長190センチ, 体重が100キロある 男性でも、

 BPDの女性に 打ちのめされるのです。

 男性は 虐待の被害者であると 人に知られるのを躊躇します。

 また警察も、 暴力の通報を受けて 男性の方を逮捕した ということがあります。

 暴力を受けた男性は 真剣に受け止めて、

 さらなる暴力から 自分と子供を 守らなければなりません。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ8 (7)

2009年09月07日 23時11分22秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

・「V」 : BPDの人の 感情を有効化する

 BPDの人の感情は 現実世界では 意味を成さないかもしれませんが、

 BPDの人の世界では 意味があるのです。

 感情を否定したり、 軽く見てはいけません。

 額面通り 受け取りましょう。

 保護者めいた態度や、 恩きせがましい態度は 避けましょう。

・「A」 : 「私の側の 現実の言明」 で 自己主張をする

 現実の言明には、 事実に基づいたものも、

 non-BPDの人の意見を 反映したものもあるでしょう。

 しかし non-BPDの人は、

 真実が 分からなくなってしまうことがあります。

 BPDの人は 自分が正しくて non-BPDの人が 間違っていると、

 余りにも強く 主張するので、

 non-BPDの人は 自分自身の現実感覚を 信じられなくなってしまうのです。

 「私の側の 現実の言明」 は、

 non-BPDの人の真実と BPDの人の真実という 白と黒の間に、

 グレーを見つけるのに 役立ちます。

 ふたりでディスカッションをする 可能性もあるでしょう。

・「S」:BPDの人の感情と行動に対する責任を、BPDの人に戻す

 BPDの人の 感情に対する責任を、

 BPDの人自身へ 方向づけをし直すことです。

 non-BPDの人は BPDの人を サポートすることはできますが、

 BPDの人の 気分を良くするのは、 詰まるところ BPDの人自身なのです。

ex. 「その苦痛を どうしたいんだい? 

 何故そのように 感じるのかを知って、 徹底的に向き合いたいかな? 

 一緒に考えることもできるよ。

 それならサポートするけど、 君の心を変えるとか、

 君の感情の責任を 取ることはできないんだ。」

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ8 (6)

2009年09月06日 19時14分58秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

○BPDの人に対処するため、

 「PUVAS」 コミュニケーションツールを 使いましょう。

 BPDの人の 投影や非難, 理不尽な要求に 対処するための方法です。

 「PUVAS」 は 次の単語の頭文字です。

Pay attention : 注意を払う

Understand fully : 充分に理解する

Validate the BP’s emotion :

 BPDの人の感情を 有効化する

Assert yourself with

 “My Reality Statement” :

 「私の側の 現実の言明」 で 自己主張をする

Shift responsibility 

 for the BP’s feelings 

 and actions back to the BP :

 BPDの人の 感情と行動に対する責任を BPDの人に戻す


 順に説明します。

・「P」 : 注意を払う

 あなたが 聞く番になったら、 本気で聞きましょう。

 糾弾されても 防衛的になってはいけません。

 相手の言葉を 無視するのもやめましょう。

 BPDの人の言葉, 表情, 声の調子などに 注意を払いましょう。

 BPDの人の感情を 有効化する役に立ち、

 表に出ていない感情を 探ることができるでしょう。

・「U」 : 充分に理解する

 言われたことは何でも 充分理解しましょう。

 分からないときは 説明してくれるよう 頼めばいいのです。

 何がBPDの人に 問題を起こしているのか、 見つけるためです。

 真摯に理解したいのだという 気持ちを伝えましょう。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ8 (5)

2009年09月05日 21時32分42秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

・BPDの人は 反応の程度を 激化するかもしれません。

 暗黙のメッセージは こうです。

 「あなたは 私の対処方法を奪っているし、

 私には こういう感情は我慢できない。

 だから 元に戻れ!」

 BPDの人の対抗運動が、

 non-BPDの人一人で 対処できないほど深刻だったり、

 子供が マイナスの影響を 受けるとすれば、

 有能な専門家に 援助を求めることが不可欠です。

・BPDの人は non-BPDの人が 元に戻らないと、

 これでお終いだと 脅迫するかもしれません。

 BPDの人が 脅迫を実行するかどうか、 確信する方法はありません。

 従って 現状の苦痛を 変化させようとするのが、 恐ろしくなるかもしれません。

 現状は苦しいけれど 馴染んでいるからです。

 それに対し 変化は未知のものです。

 例え 良い方向へ向かうことでも、 変化を恐れるのは 人間の本性です。

 non-BPDの人も BPDの人と同じく、

 変化のプラスの方が マイナスより大きいと 理解したときに、

 初めて変化するでしょう。

○対抗運動は正常です。

 対抗運動が起こるのは、 non-BPDの人のしたことが 間違っているとか、

 効果がなかったという ことではありません。

 時間が経てば、 境界設定が BPDの人が

 改善や治療を 求める決断に 繋がるかもしれません。

 ふたりの関係が 長く健全に続くために やっているのだということに、

 自信を持たなければなりません。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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ステップ8 (4)

2009年09月04日 19時29分51秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

○反発に備えましょう

 non-BPDの人の ニーズや願望を 明確に述べたとき、

 BPDの人が どのように反応するか、 予想を立てておくことが 重要です。

 投影, 激怒, 非難, その他の防衛機制は、

 BPDの人の苦痛を non-BPDの人に 感じさせようとする試みです。

 このような対抗運動に 耐える能力が、 二人の関係の将来を 決定するでしょう。

○対抗運動は 予測可能です

 BPDの人は 境界設定に対して、

 予測可能な 3つの連続したステップで 反応します。

・BPDの人は 自分の立場を支持する 論理, 感情, 意見で、

 non-BPDの人の 気持ちを変えようとします。

 この時、 境界設定が 正しいか間違っているか 口論しないことが大切なのです。

 どちらでもないのです。

 ただ あなたの個人的境界なのです。

 例えば 公の場の愛情表現として どんなことが適切か、

 時代や国, 宗教, その人の年齢, 性格によって 異なるでしょう。

 誰が正しいのでしょう。

 自分の価値観に基づいた 個人的境界は、 皆が正しいのです。

 あなたが 他の人の境界を 守るとき、 あなたの意見ではなく、

 相手が どのように扱ってほしいかによって 決まるのです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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ステップ8 (3)

2009年09月03日 23時11分37秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

・「E」 : 感情を表現する

 状況に対する あなたの感情や意見を 表現しましょう。

 あなた自身の感情には 責任を持ちましょう。

 「あなたが、 私にこのように感じさせた」 とは言わず、

 「私は、 このように感じた」 という 「 I 」メッセージで伝えます。

 自分の感情を 正確につかむため、 前もって 考えておくのもいいでしょう。

ex. 「怒鳴られて辛かったよ。

 何を言われるか、とても恐ろしかった。

 やめてくれと頼んだのに やめなかったから、 腹が立った。」

・「A」 : 主張する

 境界をシンプルなものにして、 主張しましょう。

 こうすべきだから, それが正しいから、 ではなく、

 あなた個人の好みで、 あなたを快適にしてくれる 境界を求めます。

 必要があれば、 繰り返し 何度か言いましょう。

ex. 「君のことは 大切に思っているよ。

 でも 君がキレて どうしようもなくなった時は、

 会話をやめて、 その場を離れよう。

 後で冷静になってから 話をしよう。

 僕のために必要なことで、 決して見捨てるのではないよ。」

・「R」 : 強化する

 境界の利益を 強化しましょう。

 得られることの プラス面を説明しましょう。

 現状のマイナス面を 理解してもらいましょう。

 BPDの人を コントロールしようとして、

 BPDの人を 脅かしてはいけません。

 あなたが BPDの人の不利益になるよう 振る舞っているのではないことを、

 明らかにしましょう。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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ステップ8 (2)

2009年09月02日 18時17分14秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

○あなたの境界を伝えるために  「DEAR」 を使う。

 BPDの人の 機嫌がいい時を 選びましょう。

 ただ そういう時、 non-BPDの人は いい状態を損ねたくないため、

 難しい問題を 話題にしたがりません。

 でも その願望を克服する 必要があります。

 弁証法的行動療法の創始者 マーシャ・リネハンは、

 「DEAR」 という コミュニケーション技能を開発しました。

 「DEAR」 は 次の頭文字です。

Describe: 描写する

Express: 表現する

Assert: 主張する

Reinforce: 強化する

 各ステップを紹介します。

・「D」 : 状況を描写する

 問題 (あなたのストレス) になっている 事実を描写します。

 誇張や感情を交えず、 できるだけ客観的 かつ具体的に。

 判断をせず、 曖昧な言い方を してはいけません。

 BPDの人の内面に 言及するのはやめましょう。

ex. 「昨日こういうことがあったね。

 そのとき 君は怒っただろう。

 君は僕を 罵倒し続けたんだよ。」

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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ステップ8 (1)

2009年09月01日 23時29分28秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

*「適切な時には、 『DEAR』 や 『PUVAS』 という

 コミュニケーションツールを用いて、

 BPDの人の思考, 感情, 行動に対する責任を、 BPDの人に返しましょう。」

 BPDの人の 防衛機制の影響を 受けている人は、

 ふたつの方法で反応する 傾向があります。

 スポンジのように、 あるいは 鏡のようにです。

○スポンジは ずぶぬれになります。

 スポンジは、 BPDの人が投影する 怒りや痛みを吸収します。

 BPDの人を 助けているという幻想を 抱いているのです。

 けれども実際は、 BPDの人の 防衛機制に対して 報酬を与えることになり、

 BPDの人が 同じ防衛を使い続ける 可能性を高めてしまいます。

 スポンジのような 振る舞いは、

 BPDの人の空虚感を 埋めようとしているかのようです。

 しかし どれほどの愛情, 思いやり, 献身も、

 ブラックホールのような空虚を 埋めることはできません。

 BPDの人は 穴を満たすために、 もっと 懸命で速やかな努力を 要求します。

 でも穴を埋められる 唯一の人は、 BPDの人自身なのです。

○鏡は 焦点を合わせ続けます。

 鏡は BPDの人の 苦痛を吸い取る代わりに、 次のようにします。

・自分自身の現実感覚を 維持する。

・BPDの人の 苦痛を、 その持ち主である BPDの人に 反射して返す。

・BPDの人が 自分自身の感情に 対処できるようになるという 確信を表現する。

・BPDの人こそが 自分の感情を改善できる 唯一の人であると示し、

 サポートする。

 鏡は、 自分自身の境界を 遵守します。

 自分自身を守るため、 次のような手段を 実行します。

・虐待的状況から 自分や子供を遠ざける。

・BPDの人自身の 行動への責任を取らせる。

・自分自身の感情や願望を 主張する。

・罵倒や挑発的行動を 無視する。

・激怒している人に 話すことは拒む。

・公の場で 誰かの行動によって、 自分が恥をかくのは 許さない。

・単に 「ノー」 と言う。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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