「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害を引き起こす 危険因子

2013年06月06日 22時20分44秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 BPDには 単一の原因があるのではなく、 幾つかの危険因子があります。

 生物学的な脆弱性に、問題の多い環境が組み合わされると、

 BPD発症の可能性が出てきます。

○ 生物学的な要因

 神経伝達物質レベルの機能不全は、

 衝動性や不安定な感情などの 問題を引き起こすことがあります。

 脳の組織に 障害が起こることもあります。

 扁桃体は 感情のコントロールを司りますが、

 ボーダーの人は この働きに支障があります。

 BPDを引き起こす 単一の遺伝子があるわけではありません。

 BPDのリスクを高める遺伝子は、

 双極性障害, うつ病, 物質使用障害, 外傷後ストレス障害などを持つ

 人々の間で 受け継がれているようです。

 BPDは 脳の神経経路の不安定性によるものであり、

 問題行動は 意図的でも計画的なものでもありません。

○ 環境的な要因

 BPDは 子供時代に受けた 虐待の結果だという神話があります。

 確かに ボーダーの人の多くが、

 虐待, 見捨てられ, ネグレクトなどの 犠牲者である場合がありますが、

 全てのBPDの人ではありません。

 研究されているのは 自殺や自傷傾向のあるBPDの人で、

 高機能の人々が抜け落ちています。

 また、 虐待を受けたというのは 自己報告であり、 客観性が欠けています。

 しかし 環境的な要因は、

 遺伝学的にBPDになりやすい人の、 発症のきっかけとなるようです。

 これを 「環境的な負荷」 といいます。

 環境的負荷には 以下のものが含まれます。

・ 効果的でない子育て

  不適切な育児スキルや 精神疾患など、 あらゆるもの

・ 安全でない、 混沌とした家庭環境

・ 子供と親の気質が 衝突すること

・ 養育者が突然いなくなったり、 世話されなくなること

  新しい赤ちゃんが 生まれることなども含む

  子供は 自分が見捨てられたと感じる

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 


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