「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家で看取れなかった -- 胃ろうを考える (1)

2011年11月29日 22時33分11秒 | 介護帳
 
 「胃ろうにしたため、 母親を家に 連れて帰れなかった」

 A子さんは、 そう後悔し続けています。

 母親は脳梗塞を発症後、 次第に 口から食べられなくなりました。

 医師は 胃ろうにするべきと勧め、

 胃ろうの利点を説明する ビデオを見せられただけでした。

 A子さんはしたくないと思いましたが、 弟はその場でお願いしたのです。

 医師は  「胃ろうにしなければ退院」  という雰囲気で、

 断ることはできませんでした。

 「胃ろうにしないと 施設に戻れない」

 「食べられなくなったら胃ろう」

 そのように軽く考えている 医師がいるようです。

 しかし胃ろうは、 作るのは簡単でも、

 患者や家族の人生に 大きな影響を及ぼします。

 A子さんは、 自宅での胃ろうの処置に 不安があり、

 やむなく母親を 特養に入所させました。

 母親は 胃ろうのチューブを 外すことが相次ぎ、

 結局 自宅に戻れないまま 亡くなりました。

 胃ろうにしなければ、 もっと早く亡くなったでしょうが、

 本人の苦痛はなく、 家で看取れたかもしれません。

 A子さんは、 自分は食べられなくなっても 胃ろうはしないと言っています。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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