「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

弁証法的行動療法の成り立ち (2)

2011年11月10日 23時02分54秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 「生物社会的理論」 の 環境的な要因には、  「非承認的環境」 があります。

 BPDの人は 自分の感情とどう付き合えばよいのか、 学べない環境で育っています。

 感じたことを 間違っていると言われたり、

 感情的になると 罰を与えられたり、 無視されたりします。

 抱いた感情を 拒否されたり怒られたりすると、

 自分の感情を恐れるようになるでしょう。

 家族の中で 自分だけが違うと感じて 育つだけで、 非承認になる場合もあります。

 自分はやっかい者、 部外者と感じてしまうのです。

 生物社会的理論では、 感情の脆弱性と非承認的環境の 両方がそろって、

 初めてBPDを引き起こすのです。

 またこの理論では、 感情の脆弱性も非承認的環境も 悪いわけではないとしています。

 感情的である人は、 情熱的で、 人の痛みをよく理解し、 繊細です。

 それが悪いことなど 何もありません。

 同時に、 あまり感情的でない人が、

 非常に感情的な子供との 接し方が分からないとしても、

 その人を責めるべきではありません。

 親や周りの人は、 どうすればよいか分からないだけで、

 傷つけたり動揺させたり しようとしているわけではないのです。

 非承認的環境と 感情的な子供との間で、 悪循環が起きているかのようです。

 このようなことが、 感情が脆弱な人に 繰り返し起こると、

 感情をコントロールするのが困難になり、

 自分の感情に耐えられないと 感じるようになります。

 そして 自分の感情から逃れるために、

 自傷行為や自殺企図を するようになってしまうのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)