「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

愛情飢餓(1)

2005年12月12日 20時58分07秒 | 心子、もろもろ
<愛はどこにありますか? 誰が私を必要としていると言うのでしょう? 欲しいものは愛だけなのに。しんこ>
 心子のメールです。

 脚本家の清水喜美子さんも、これと同じセリフを30代半ばまで抱えていたそうです。
 「愛が欲しい病」と清水さんは言います。
http://see-saw.way-nifty.com/diary/2005/12/post_e221.html

 心子は物欲とも名誉欲とも全く無縁でした。
 彼女が欲するのはただ、際限のない愛情だけなのです。
 心子はあまりにも潔癖で、崇高な愛をこいねがっていました。

しかし混沌とした現実の中では、白馬の王子は別世界の夢物語でしょう。
 “完璧な愛情”というものは実在しません。

 この世には完全無欠なものなどないということを理解するのが、心子に極めて困難でした。
 心子にとっては、100か0か、ふたつにひとつしかありません。
 99%の愛は0と同じなのです。
 心子は理想の愛情を期待し、常に裏切られ、乳飲み子のように泣き叫ぶのでした。

(続く)

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