蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

北朝鮮 総書記・独裁者金正日の死―そして後継者・金正恩の今後はいかに…―

2011-12-19 18:07:14 | 時事所感
12月19日(月)晴れ。

 北朝鮮メディアによれば、12月17日、午前8時30分、北朝鮮人民共和国、金正日総書記が現地指導に向かう専用列車の中で重症急性心筋梗塞と心臓ショックのため死亡したという。

 このニュースを聞いた瞬間、ギリシャの財政破綻に起因するEUの混乱、世界的な経済恐慌の広がりが云々される現在の鬱陶しいニュースばかりの暗雲に覆われているような中で、天空の一箇所に僅かではあるが、穴が開いて、青空がのぞき明るい日の光が射しこむように感じたのは私だけだろうか…。

 別に北朝鮮人民でもない私でさえもがこのように思うのだから、その独裁の圧政下の北朝鮮人民共和国の一般庶民は、どのように感じているのだろうか…。

 もっとも、独裁国家の党官僚、軍部高級軍人等の特権階級にとっては、強大な守護神を突如失ったことで明日からの、鬱積する国民の不満がどう噴出し自分達に怒涛のごとく襲い掛かってこないかと不安におののく輩も多数居はしないのだろうか…。

 こうした中で、早くも、総書記の後継者、正恩(ジョンウン)氏に住民が忠誠を誓う様子を報道し始めたとも伝えられている。
 だが、いくら北朝鮮民衆が物分りがよく、物言わぬ民とは言え、今回ばかりはこれまでのようにそうすんなりと静かにおさまるだろうか…。
 
 おりしも今、私は自宅近くの新府城の主、武田勝頼の最後に興味を持ち、武田一族興亡の跡を追っている。

 そこで思うことは、偉大な父親信玄の遺産・業績を突如、27歳の若さで傍流の血筋から跡目を継がされた若き勝頼のあせりと苦悩の無慚さである。

 信玄時代の股肱の臣に囲まれた中で、父信玄の偉大さに負けまいとして、周囲の反対を押し切り、長篠の戦いの乾坤一擲大博打に打って出てはみたものの、織田信長と徳川家康の連合軍の前に大敗北を喫し、からくも命からがら逃げ帰った。

 その後は為すことすべてが、後手後手となり、信望を失い身内親族の櫛の歯を抜くような裏切りに逢い孤立し、父信玄死して10年経つか経たないうちに、まだ男盛りの37歳の若さで、山梨盆地の東の口、天目山の谷合で、最後に付き従うもの僅かに40人足らず、19歳の愛妻北条夫人を、若干16歳の嗣子信勝もともども自刃させ、飢えと疲れの中で、鎧櫃に暫時腰掛け茫然自失のところを、哀れおりからの山桜の花吹雪の中、己が首をやすやすと打ち落とされて果てたという。

 北朝鮮独裁国家、暴悪無情の大怪物、父金正日の後継者、金正恩もまた、この勝頼の轍を踏まないと誰が云えるだろうか…。
 万一、その暁には、どれほどの無駄な血と時間が流されなければよいがと願うばかりだが…。果たしてこれは、山家の隠居の杞憂だろうか…。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿