蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

拙ブログ「子も孫も無い安倍総裁には…」コメントへのお答え

2012-12-20 23:07:35 | 時事所感
12月20日(木)晴れなれど寒気強気一日。

 12月8日付けでアップした拙ブログ、「自民党、安倍総裁を大勝させていいのか!?」について、Unknown (大内巌)様から
『子供がいないと言うだけで子も孫も無い・・・云々
見識を疑います。貴方の認識の浅さが出ます。深い知識と資質で非難をされるので有れば良いが、その程度の言葉で認識非難をされるのは折角の知識に傷が突きますし、正論が軽くなります。』
とのコメントをいただきました。

 <子供がいないと言うだけで子も孫も無い・・・云々見識を疑います。貴方の認識の浅さが出ます。>
 とのご教示、真に恐縮です。
 
 コメントへのお答えは、本来はコメント欄で応じさせていただくのが、ルールかもしれませんが、本題の場合、大内様と同様にお感じになった方も多いかと思い、このような形でお答えさせていただくことといたしました。

 実は、私自身 「…これとて、子も孫も無い安倍総裁には痛くも痒くもないことなのだ。…」この部分を書きながら、夫婦であっても子どもがないのは、誰の責任でもなく、そのことをあげつらうことがいけないことは十分承知しながら、それでも敢えてそう書かざるを得ない気持ちに突き動かされたのです。
 たしかに、世の中には、結婚して子どもが欲しくてもできず、効果的な不妊治療を求めて他人にはうかがい知れない苦労をされていられる方が少なからずいられることは、十分承知しております。

 ただ、安倍氏の場合、他のことはさておいても、尖閣問題に端を発して、自衛隊ではなまぬるい、憲法を改正して正真正銘の国防軍にせよ。そして、寸土たりとも国家の基本要素である国土を侵させてはならない毅然たる態度を示せ。民主党の軟弱外交は許せない。 そのためには日本国民である以上命を賭けるべきだ、というのがその主張の中心だと私は受けとめました。
 
 そして、これを聞いて私は、安倍氏の無責任さと想像力の貧しさに我慢がならなくなったのです。
 
 ここで私事で恐縮ですが、私の父は私が4歳のとき、応召され、昭和19年、フィリッピンへ輸送船で向かう途中、乗船していた瑞穂丸に米軍の魚雷が命中し、バシー海峡の藻屑と消えました。
 唯一の働き手であった父を失い、まだ母のおなかの中にいた弟と3人、私たち母子の暮らしは、戦後一変し、世の高度成長の謳歌に反比例するがごとく、貧乏のどん底でやっとのことで成人しました。

 国家、領土、それを守らされるのは生身の人間です。いざ、国境紛争となった場合、命令する総理大臣は国家の真ん中の首相官邸の安全地帯に居て、一言厳かに命令を下せばそれで終わりです。

 だがその命令を受けて実際に争いの現場で、侵略者と対峙させられるのは、末端の自衛隊員や海上保安庁の係官であることは自明なことです。
 彼らには、妻があり子どもがあり年老いた父母があるのです。いざ、戦いが始まれば死が当然のこととなります。

 ところで、こうした場合、首相の命と、彼ら兵士一人ひとりの命の重さに軽重があるでしょうか。人間は、人生は一度死んでしまえば無です。同じ人間でありながら、何故、首相たる立場にあれば、他人に死ぬことを命じられるのでしょうか。おかしくありませんか。国家組織とはそういうものだということで割り切ってすましますか。

 そもそも国家はなんのためにあるのでしょうか。
 個個のひとりひとりでは、赤子のように弱い存在の人間が、なんとかより強い暴力や理不尽から身を守るための手段ではあり一つの生きていく上での知恵ではありませんか。
 その手段の為に本来の人間の命が代償とされるということは本末転倒ではありませんか。
 国家は人間が生きていくための、換言すれば一人ひとりのかけがえのない人生にとってあくまでも手段の筈です。

 ところで、私は、今、もし憲法が改正されて、自衛隊が国防軍になったとしたら、論理的帰結として国民一人ひとりに国防の義務が課せられることは明白だと考えます。納税の義務、国防の義務は国民としての両輪の責務であり義務であるはずです。
 そしてその当然の結果は、徴兵です。これからの軍隊はハイテク化され、そこには女も男もなくなるのではないでしょうか。徴兵は、男も女もない義務となるでしょう。
 
 しかし、何事につけてもそれが卑近な身近なことから離れた事件・事象については、あくまでもおめでたいお人よしの我が国民の大方の人は言います。徴兵制になんてならないよ。志願制で十分数は足りるからと。

 そうでしょうか。私は国防を言う以上、志願制は法の下の平等からいっても、しかも軍隊というものが生命の喪失を前提とされる組織である以上、絶対に認められるべきではないと考えます。
 故に、今、安倍総裁の目指すところが実現されたならば、私は、真っ先に吾がたった一人の男の子の10歳の孫の将来を思います。
 私は、例えば尖閣を守るためと称して、孫が島の防衛に当たることを想像したら、とてもだまって座視するわけにはまいりません。

 安倍総裁が、安易に国を守れ、我が領土を守れとおしゃるとき、その現場の情景を具体的に想像されたうえでおっしゃっているのでしょうか。私にはそうは思えません。
 果たして、安倍総裁は、そこまで見通した上で発言されているのでしょうか。
 安倍総裁に一人きりの男の子や孫が居たとしたら、こういうことを発意し、発言されるでしょうか。

 無学非才、愚凡な老爺の私は、かかることをおっしゃる安倍氏は、生身の可愛い子や孫をもったことがないから、具体的な想像力を持ちえず、観念的にどんな無責任な発言でもできるのではないかと思い、敢えて「子の有無云々」を持ち出したしだいです。

 ところで、先の大戦の最中、また戦前の様々な事例を見聞するにつけて、愛国を声高に叫ぶ人ほど、いざ戦争となれば、自分はぬくぬくと安全な場所に身を置き、自分に近しい身内は金を使いコネをつかって戦いの場から遠いところに置くのが常ではなかったでしょうか。

 「愛国」という言葉は、大方の場合、他人の生命の犠牲において自己の何らかの既得権益や利益を守らんがための欺瞞でしかないとさえ、私は、今、確信しています。

 国家は決して、至高の存在ではありえません。それは、人間が生きていくうえでの方便の一つでしかありえません。それゆえ、国家への忠誠を強要することは、自らを主体的人間であることから、誰かの奴隷へ自らを貶める他のなにものでもないと私は確信します。

 しかし、現実の問題として、ある国家に属している以上、その成員としての当然の義務が生じることは自明です。そして、そこにおける義務はあくまでも相対的なものであり、国民みな同一の立場での共同責任であり、その限りにおいて、個個の私としての全力を尽くすべきであり、それはあくまでも個個の私の自発的意思の発動としてのものであるべきだと考えます。
 私とて、そのような国民として義務を果たすことについてはいささかの意義もありません。私は、古希を過ぎて老いたりといえども、誰にも劣らず全力を尽くしてその責務・義務を果たす所存です。

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2 コメント

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Unknown ( go)
2012-12-21 15:47:40
>そしてその当然の結果は、徴兵です。

当然の結果は「徴兵制は必要ない」です

憲法9条の無い欧州各国でも、徴兵制を次々と廃止しています
現在では欧州で徴兵制を採用している国はほとんどありません

戦前と違い、装備のハイテク化で兵士の数を増やしても単純に戦力の増強にはならないからです
戦前、零戦は1万機以上作られましたが、現在の自衛隊の主力戦闘機はF-15とF-2合わせて約300機しかありません
装備のハイテク化・高額化で数を減らしているのが「結果」です

日本より人口が少ない欧州各国が徴兵制を廃止してるのに、人口1億を超え、回りを海に囲まれた日本が徴兵制を採用する必然性がありません
尖閣での戦いなら、海と空の戦いであり、なおさら徴兵制など約に立ちません
また自衛官採用の倍率は約5倍に達しており、自衛隊員を増やしたいなら採用数を増やせばいいだけの話です

自民党は徴兵制を公約にしておらず、また安全保障に一番力のある石破氏も徴兵制を明確に否定しています

徴兵制を言ってるのは維新の会の石原氏であり、自民党ではありません
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パール・ハーバー。キリング・フィールド。JFK。 ハンバーガーヒル~ (村石太キッド&コピーマン)
2012-12-22 12:45:49
解散から1ヶ月において選挙。政治という 選挙という 重要性
国防軍 で プログ 検索中です
国防軍とは いったい どんな 具体的な 政策なのだろか?
国防費 第9条 水銃 捕虜 実弾 威嚇 殺人 戦争
徴兵制 不敬罪 BC級戦犯 官房長官 PKO NATO 軍事科学 軍事産業 学校教育
国際平和維持活動 平和維持軍 安保理 核兵器問題 非核三原則 オスプレイ 日米関係  
日本のどこかに 核ミサイル設置 したりするのかなぁ?
喧嘩の仕方なのかなぁ?仲間作り(集団 絶対数 多数決)~孤立~武闘派~インテリ派~
リメンバーパールハーバー 広島 長崎 あの時の戦争の結果。
~政治研究会(名前検討中 戦争を知らない子供達
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