道楽ねずみ

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トスカーナと近代絵画(損保ジャパン東郷青児美術館)

2013年09月25日 | 美術道楽
ベルリン編の途中ですが、ベルクグリュン美術館を初めとするシャルロッテンブルクの3つの美術館の話は後にしまして、東京の秋の美術展の話にします。

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「トスカーナと近代絵画」展に行って参りました。これは、フィレンツェのピッティ宮殿は、なんといっても2階部分のパラティーナ美術館のラファエロのコレクションで有名ですが、ルネッサンス期の絵画を収蔵したパラティーナ美術館だけではなく、3階には近代美術館があり、そこには、主にトスカーナの18~20世紀の絵画と彫刻群を収蔵しているとのことです。私も、ピッティ宮殿はいったことがありますが、近代美術館の存在は知りませんでした。
このフィレンツェ近代美術館は特にマッキアイオーリに属する絵画で有名とのことです。マッキアイオーリとは、1850年ころ、イタリアのリソルジメント(国家統一運動)を背景にトスカーナ地方で生まれた絵画の流派のことでありまして、自然の光を生き生きとした状態で定着させるべく色斑で描写した絵画のことでして、イタリア語で「しみ」「斑点」を意味する「マッキア(macchia)」に由来するということです。イタリアの印象派とも言われるようです

構成は4章建てであり、1章では19世紀前半からイタリア統一までのトスカーナの美術を概観し、2章ではリソルジメントが生んだフィレンツェの美術運動マッキアイオーリの革新性を象徴する小品群をクローズアップ、3章では統一後の様々なトスカーナ絵画を、4章では統一後のイタリア絵画の主な画家たちを紹介する内容でした。
第1章 トスカーナのロマン主義絵画にみる歴史と同時代性
ジュゼッペ・ベッツォーリ、エンリコ・ポッラストリーニ、アンドレア・ピエリーニ、アントニオ・フォンタネージ、アントニオ・チーゼリ、ドメニコ・モレッリ
第2章 新たなる絵画 マッキアイオーリ
ジョヴァンニ・ファットーリ、ジュゼッペ・アッバーティ、ラファエッロ・セルネージ、ヴィンチェンツォ・カビアンカ、テレマコ・シニョリーニ
第3章 トスカーナにおける19世紀と20世紀絵画の諸相
プリニオ・ノメッリーニ、フランチェスコ・ジョーリ、ヴィットリオ・コルコス、ガリレオ・キーニ、オットーネ・ロザイ、プリモ・コンティ
第4章 20世紀の画家たち: イタリア絵画の立役者たちとその傾向
ジョルジョ・デ・キリコ、フィリッポ・デ・ピシス、ジュゼッペ・カポグロッシ、カルロ・カッラ、マリオ・シローニ、アルベルト・サヴィーニオ

「チマブーエとジョット」(サバテッリ)や「ダンテとベアトリーチェの出会い」(ピエリーニ)というルネッサンスのテーマの絵画から始まり、「従姉妹アルジアの肖像」(ファトーリ)、「フィレンツェ旧市街の通り」(シニョリーニ)などのマッキアイオーリ風の作品(ファトーリのイタリア統一戦争をテーマにした作品も興味深く思われました。)、さらにはその後の時代に属する「聖アントニウスの誘惑」(モレッリ)、「南イタリアの歌」(ジョルジュ・キリコ)に至るまで様々な作品を見ることができました。

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