道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

そこにある、時間(原美術館)

2015年10月08日 | 美術道楽

品川の原美術館で開催中の「そこにある。時間展」にいきました。

ドイツ銀行所蔵の写真のコレクションです。

ゲルハルト・リヒター、ジグマ・ポルケといった有名な画家の作品もあります。

リヒターは写真風に描くフォト・ペインティングの技法で有名ですが、今回は写真そのものの作品です。よくわからない作品でしたが、ドイツ赤軍のメンバーが獄中で戦死した事件を描いた作品《1977年10月18日》に関連して、撮影した写真ということです。リヒターのみが鮮明に映っています。ポルケの作品はフィルムを放射能に被曝させてつくった映像とのことでしたが、見ても意味のある形状はしていません。

 

トーマス・シュトルートの作品は、以前にも竹橋の東京国立近代美術館でも見ましたし、ミラノのGAM美術館でも見ましたが、いつも美術館で絵画を見る人を写真に撮った作品です。今回のは、ルーブル美術館のにおける写真でした(何の絵画かは、今回はわかりませんでした。)。

アネット・ショトゥートの作品は、部屋を撮った写真の中に写真をコラージュし、その中にさらに写真のコラージュがあるということを繰り返した作品でした。

クラウス・リンケの作品は、何もないところに立つ少年の後ろ姿を、15mずつ離れて次々と撮り、それをどんどん上に積み上げていった作品です。私は、見た瞬間には子供の写真の上下の高さを2分の1ずつ縮小していったものを積み重ねた無限等比級数的な作品かと思いました。高さだけの縮小ではうまくいかないのですが、子供を撮影した部分だけを次々と2分の1に縮小していき、幅はそのままにして積み上げて、「無限等比級数」というタイトルの作品にしても面白かったかもしれないなどと考えてしまいました。

 

このほか、杉本博司ややなぎみわの作品もありました。

写真作品ばかりですし、展示数も多くはないのですが、なぜか興味をひく展覧会でした。