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いや、疲れました。
134分間、息をつく暇もない。
2009年にソマリア沖で実際に起きた事件を基に、人質に取られたコンテナ船船長(トム・ハンクス)
とソマリア人の海賊たちとの攻防戦を描いた作品です。
原作は、船長リチャード・フィリップスが著したノンフィクション。
『ユナイテッド93』などのポール・グリーングラス監督。
冒頭の、ソマリア人の海賊が出撃するシーンでまず、呆気に取られます。
砂浜に集まった貧しい身なりの男たちが、突然出撃することになる。
綿密な計画性や、堅固な人間関係などまるでなく、
行き当たりばったりとしか言いようがないやり方で。
お互いに名前も知らないメンバーだったりするのです。
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小さなボロ船で、アメリカの大きなコンテナ船を追いかける。
あんな小さな船でどうやって?と思っていると
銃の国アメリカのコンテナ船は、何故か丸腰。
ハイ・スピードで逃げるとかホースで放水するなどの防御策しかなく、
銃を幾つも持った海賊たちにはひとたまりもない。
あっという間に、海賊たちが乗り込んでくる…
この海賊たちが、実に怖い。
みんな痩せこけていて、目だけが光っている。
そして実によくキレる。
唾を飛ばして怒鳴り、殴り蹴り、発砲する。
食べ物の代わりなのか、しょっちゅうドラッグのような草を噛んでいる。
狂気に満ちた悪人に銃を持たせるほど、怖いことはありません。
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しかし、彼らには彼らの事情があることも分かってくる。
元々は漁師であったが、大国の乱獲のせいで魚が取れなくなったというのです。
だからといって、海賊以外にやることはないのか?というフィリップスの問いかけに対し、
アメリカなら(あるだろうが)と答える貧しいソマリア人。
富める国と貧しい国。
その格差が、嫌というほど伝わってくるのです。
フィリップスが小さな救命艇に人質に取られてからは、緊張度は益々高まってくる。
何かと言っては、殴られ蹴られ、首を絞められ…
息も詰まりそうな狭い艇内で、弩号と汗と血が飛びかう。
アメリカ海軍に追いかけられるようになってからは
海賊は愈々キレまくり、いつ殺されてもおかしくない状態。
その地獄を生き延びたフィリップスが、最後の最後に半狂乱になるのも
無理はないでしょう。
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先日の朝日新聞に、実在のリチャード・フィリップス氏と久米宏氏との対談が
載っていました。
この事件のことで誰かを恨んではいないのか?と問う久米氏に対して
海賊たちに嫌悪や憎しみは感じていない、その行為に及んだ理由は分かっているし、
夢すら見ることのできない現実を生きる彼らに、とても胸が痛むと。
そして、この映画の最も優れた点は、ポール・グリーングラス監督が
海賊をただのヒール役ではなく、我々と同じ人間として描いたところにある、
とまで言っているのです。
あれだけの目に遭って、そんな風に思えるなんて…
そして実際彼は、事件の14カ月後に船の仕事に復帰しているのです。
緊張を強いられ続けて実に疲れる作品ですが
確かに勇気は貰えます。
「キャプテン・フィリップス」 http://www.captainphillips.jp/
映画の最後に
事件後、船長は職務に復帰されたと出ていましたが…
それだけでも凄い
海賊に対して彼らの過酷な生活状況に理解を示せるなんて
リチャード・フィリップス氏は人間として素晴らしい人ですね
ソマリア沖での海賊については
ニュースで度々報道されてはいますが
世の中には様々な人が存在していて
私の想像を絶するような世界が存在するのだと
この映画を通して教えられました
大体そうでなくちゃ、あの修羅場を乗りきることは
できなかったでしょうねえ。
ソマリア沖では、日本船も被害に遭っているんですよね。
2011年の商船三井タンカー襲撃事件は
私も覚えていました。
決して無関係の話ではないんですよね。
トム・ハンクスの演技が素晴らしい~と思っていたら、なんと実際の船長さんも素晴らしい方だったのですね。
割とすぐに船長として復帰していることにビックリしたのですが、インタビューで恨んでいないと発言する、やはりこれこそが船長の器なのかもしれないですね。
年末にいい映画に出会えました。
どうしても観たくなったのです。
ここまで言い切る人って
どういう人だろう!?って。
こんな目に遭ったら私だったら
もう一生船には近寄りませんわ~!
昨日付けの拙サイトの更新で、
こちらの頁をいつもの直リンクに拝借しております。
実際のフィリップス船長の弁と行動、凄いですよね。
それだけの人物をして、あれだけパニくらせる状況、
確かにとても耐えられそうにありません。
こういう事態に対して
力で臨む“積極的平和主義”ではなく、
こういう事態が起こらないよう
貧困や差別、格差をなくそうとする“積極的平和主義”
というものが世界基準になるといいのですが、
市場主義という名の競争至上の強欲資本主義が
どんどん幅を利かせるようになると、
ますます遠ざかっていくようで、遣り切れませんね。
どうもありがとうございました。
お返事が遅れました。
こちらこそリンクありがとうございます。
鑑賞して半年近く経った今、
緊張して疲れたということ位しかはっきり覚えていないのですが…
あれほど緊張させられたにもかかわらず、
見終わった後の印象は悪いものではありませんでした。
それって結構凄いことですよね?
自身の引っ越しは、もう三十年来、経験していないので、段ボール箱に詰めるのも解くのも想像するだにゾッとします(笑)。ご苦労様です。
あ、子供三人が小学生になった時分に、住まいを隣家と入れ替えて部屋数の多いほうに移ったのだった。でも、所詮、隣家だからのんびりやればよかったのですが、それでも面倒だったような記憶が…(たは)。
ところで、本作が“遣り切れなさ”のみを残していないのは、確かに「結構凄い」ことなのだと僕も思います。
確かに引越って大変ですねえ。
私も18年ぶりなので、どんなに大変なんだかもう忘れておりましたw
>本作が“遣り切れなさ”のみを残していないのは、確かに「結構凄い」ことなのだと僕も思います
この作品の評価は
その一言に尽きると思います。