Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

青山スパイラル、「ジャック・ランダ・ホテル」

2024年06月22日 | 

村上春樹編訳「恋しくて」の中に、ジャカランダが出て来る短編があると友人が教えてくれました。
私はその本を昔読んで、しかも本棚に持っていたのに。
春樹の小説は結構好きですが翻訳物はあまり好きではなく、これも印象に残らなかったのか、すっかり忘れていたのでした。



「ジャック・ランダ・ホテル」アリス・マンロー著。
夫ウイルが若い女性と駆け落ちしてしまい、残されたゲイルは、彼を追いかけてカナダからオーストラリアに飛んで行く。
夫の家の近くに住み、彼らの郵便箱から手紙を盗み、別人になりすまして、ウイルと奇妙な文通をする。
その手紙の内容というのが、なんとも悪意に満ちているのです。



ジャカランダの花が確かに出て来ます。
ゲイルがオーストラリアで滞在した部屋の近くの公園の樹々の花が、満開となる。
「銀色がかった青、あるいは銀色がかった紫、とても繊細で美しい色なので、それはまわりのすべてに衝撃を与え、みんなを黙り込ませ、瞑想に耽らせるだろうとつい思ってしまう」
その名前を近所の青年に尋ねるが、青年が教えてくれた言葉を彼女は間違えて聴き取るのです。
「ジャック・ランダ」と。

ウイルに正体を見破られたと分かった瞬間、彼女はそこを逃げ出す。
ウイルに捕まえて貰いたいから。
「私を追いかけるかどうか、今度はあなたが決める番」。
もう若くもないゲイルの一途な、そして歪んだ女心が、なんとも悲しい。



写真は、青山スパイラルの「WONDER AT SPIRAL」から。
”アートを通じて、人々を融和へ、そして平和を願うアートムーブメント”(HPより)。
写真展と合わせ、華道家によるインスタレーション、そして音楽やピアノ演奏などのさまざまなアートプログラムが展開されるのだそうです。
友人のインスタレーションを観に行って来ました。

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