
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが…(新潮社HPより)
「我こそは伊能清左衛門が一子、菊之助。その方、作兵衛こそ我が父の仇、いざ尋常に勝負」というかけ声と共に、野次馬を前に仇討ちが繰り広げられる。
その仇討ちを間近に見たという、芝居小屋で働く木戸芸者、立師、女形の衣装係、小道具、筋書といった人々の口から語られる事件の顛末と彼らの人生。
その頃「悪所」と呼ばれていた芝居小屋に辿り着くには、それぞれの生い立ちと越し方の、深い理由があったのです。
「お前さんにとって武士とは何だい」(筋書の金治)
「人としての道を過つことなく、おもねらず、義を貫くことだと思います」(菊之助)
そこまで真っ直ぐの面差しと覚悟を持った菊之助を、芝居小屋の人々が人情の深さでどうやって包み込み、背中を押したか。
なぜタイトルが「あだ討ち」であるかが分かったとき、ストンと腑に落ちる思い。
ネタバレになるのでこれ以上書けないのが残念ですが、なんとも後味が温かです。
直木賞・山本周五郎賞受賞作。
父の書棚にあった司馬遼太郎や池波正太郎を中高生の頃読んだくらいで、時代小説にはとんと縁がない私ですが、これは面白かった。
「奈落の底」の言葉の謂れも初めて知りました。
4月から市川染五郎、松本幸四郎が歌舞伎の舞台でやるそうで、楽しみです。
来月歌舞伎座これが見たくて昼の部の
チケットとってます。
事前に本読むか読まずに見るか思案中です。
これを短い歌舞伎でどうやって表すのかな?と興味あります。
mikaさんの歌舞伎の感想、お待ちしていますね。