さて、いよいよ三部の鑑賞。
最後は床下です。
三部も近松門左衛門の「女殺油地獄」です。
開演が18時からなので多少早いものの仕事帰りにも見に行ける開演時間です。
不条理です。いや~、不条理です。
ぼんくら不良坊が周りからの愛情をことごとく裏切り破滅に向かっていく。
んなもん、ひとりで破滅に向かえばいいのに、親切にしてくれる同業者の奥さんを殺すんです。
子ども三人が蚊帳の中で寝ている中、油屋の油をひっくり返しての殺戮。
歌舞伎では油代わりの粘度のある水がまかれますが、文楽ではそれを人形が表現。一部でアグレッシブな動きを見せた和生さんと二部に続きご活躍の勘十郎さんがつるつる、つるつる、つるっつるっと舞台狭しとすべられます。
これは体力が…大変だ。
普通は殺しの場面までたそうですが、ばか息子の罪が露見する逮夜まで。状況から考えても一番怪しいわなあ。
これも共感なんて出来ないんですが、殺伐とした(しかし、ほんとは情がたくさんあるのにそれでは満足しない人間の性)夏の夜の物語にて文楽漬けの一日終了。