梅雨時の山は、雲を着ている。
雲は、纏わり付くように山肌を飾る。
その風情は、素晴らしく荘厳である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/0a/83f644a0365128c9a3d2acb8066ee1c1.jpg)
昨日と一昨日、ぼくは故郷の山梨県に出かけた。
伯母が亡くなったのだ。
父の実兄の妻だった。
父の実兄は、もう40年前に逝去している。
この伯母は、再婚もせず二人の子どもを育て上げた。
着物姿の粋な美人で、花が大好きだった。
庭には、蛍袋や半夏生が咲き乱れ、桔梗の紫が鮮やかであった。
この伯母は、花の季節に伯父の下へ旅立った。
告別式の後、初七日の席で・・・献杯の音頭をとった。
「今日は、七夕です。伯母ちゃん伯父ちゃんと会って仲良くしろしね!献杯!」
ぼくは、山梨の方言でそう言って杯を捧げた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/87/017c947a0bb4abeba7af9aadc2141e4f.jpg)
この山肌を縫う雲は、中央高速道の景色である。
時折雨がパラついた。
伯母は泣いてはいない・・・。
残された、子ども二人が泣いているのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/d1/f8b5f6cf3761c217bee941e4d078c45e.jpg)
「山の襞ことごとく雲木菟の声」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/a9/4f0ed24ed5f6eb3b402c66821a82de40.jpg)
山の中から木葉木菟(このはずく)の声が届いた。
久しぶりの、木菟の声であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/5c/f4b09c281e3b2b4bc765190ec19129b2.jpg)
山の景色の反対側は、街である。
この電線の下は、葡萄の棚である。
とまれ・・・俳句を始めてから、はじめての木菟の声であった。
伯母が、聴かせてくれたのかもしれない。
荒 野人
雲は、纏わり付くように山肌を飾る。
その風情は、素晴らしく荘厳である。
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昨日と一昨日、ぼくは故郷の山梨県に出かけた。
伯母が亡くなったのだ。
父の実兄の妻だった。
父の実兄は、もう40年前に逝去している。
この伯母は、再婚もせず二人の子どもを育て上げた。
着物姿の粋な美人で、花が大好きだった。
庭には、蛍袋や半夏生が咲き乱れ、桔梗の紫が鮮やかであった。
この伯母は、花の季節に伯父の下へ旅立った。
告別式の後、初七日の席で・・・献杯の音頭をとった。
「今日は、七夕です。伯母ちゃん伯父ちゃんと会って仲良くしろしね!献杯!」
ぼくは、山梨の方言でそう言って杯を捧げた。
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この山肌を縫う雲は、中央高速道の景色である。
時折雨がパラついた。
伯母は泣いてはいない・・・。
残された、子ども二人が泣いているのだ。
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「山の襞ことごとく雲木菟の声」
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山の中から木葉木菟(このはずく)の声が届いた。
久しぶりの、木菟の声であった。
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山の景色の反対側は、街である。
この電線の下は、葡萄の棚である。
とまれ・・・俳句を始めてから、はじめての木菟の声であった。
伯母が、聴かせてくれたのかもしれない。
荒 野人