エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

空蝉の

2012年08月09日 | ポエム
空蝉・・・何たる語感であろうか。
昨年は、余りの熱さに蝉が鳴かない・・・と大騒ぎであった。
記憶に残っているであろうか?

翻って、今年は良く鳴いている。
暑さは昨年とそう変りないと言うのにである。

昨日の涼しさにかまけて、散歩中に気づいてシャッターを押した。
ナイスのタイミングであった。







「空蝉やうたかたの夢虚しかり」


「蝉生れど一場の夢舞台無く」


「空蝉の問わず語りの物語」







空蝉とは、この世に生きている人間といった意味合いであり、古語の「現人(うつしおみ)」が訛ったものである。
転じて、生きている人間の世界、現世である。

セミの抜け殻、またはセミそのものを指す夏の季語。
『源氏物語』五十四帖の巻名の一つ。
第3帖の、その帖を中心に登場する架空の女性の通称である。







 空蝉を妹が手にせり欲しと思ふ

             誓 子




こんな句が詠まれている。
山口誓子の句である。

「源氏の物語」で光源氏が詠んだ和歌はこうだ・・・。
空蝉という名前の由来は、求愛に対して一枚の着物を残し逃げ去ったことを、源氏がセミの抜け殻に例えて送った和歌からである。



「空蝉の身をかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな」
「空蝉の羽におく露の木がくれてしのびしのびにぬるる袖かな」


である。




      荒 野人


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