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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒10 「すみれ色の研究」~ロレンツォのオイル

2011年12月01日 | 推理・サスペンスドラマ
 今回はふたつの事件が同時進行している。
・バイオマスエタノールの研究者・倉田真理(笹峯愛)の死。
・研究所所長の研究費横領。
 このふたつの事件の<研究費横領>を右京(水谷豊)が、<倉田真理の死>を神戸(及川光博)が関わるという図式になっている。
 「相棒」ならではの図式と言えるだろう。
 刑事がひとりだったら、ふたつの事件に関わらなくてはならなくなり、結構忙しくなる。
 真犯人をハメるクライマックスのフェイクも、ひとりだったら出来ない。

 ストーリーとしてはどうだろう?
 右京と神戸の対立もフェイクであることは途中から見え見えで、これで視聴者を驚かせようとしていたのならイマイチ。
 事件も、<研究費横領>と<倉田真理の死>がたまたま舞台が同じというだけで、まったく絡んでいないのが気になる。
 なので、今回右京が解きほぐす糸はわりと簡単だ。連立方程式としては難しくない。
 推理ものとしては、トリックは<犯行現場の移動によるアリバイづくり>という古典的なものだし、犯人の特定も<罠にかけて証拠隠滅に来た所を捕まえる>という安易なものではなく、さらにもうひとがんばりしてほしかった。

 もっとも<クリーニングの札がついていない白衣><掃除機のコード><遺体の指に残された切り傷><カッター>から真相にたどり着いた右京さんはたいしたものだが。
 ただし一方で、この推理、かなり強引な感じもする。
 もうひとつ要素がなければ犯行現場のサボテンにはたどり着かない。
 というのは、指を切るのは別にサボテンでなくてもいいわけですし。台所の果物ナイフでもデスクの書類の紙でも十分あり得る。
 まあ、白衣が犯行現場が研究室であることを特定し、サボテンという結論に達したんでしょうけど。

 ドラマとしては父と娘。
 娘のことを思って沈黙する父とそんな父親の沈黙に疑惑を抱く娘。
・真実を話して真っ正面から向き合わせた方がいいのか?
・疑惑を抱き、心にもやもやを残したまま真実を隠した方がいいのか?
 これも議論の分かれる所ですが、今回の結論の方がいいんでしょうね。
 真っ正面から向き合うことで信頼が生まれ、絆ができる。
 その信頼と絆で、父娘はふたりでHTLVIキャリア・母子感染という現実と向き合える。
 疑惑や不信からは何も生まれない。
 『ロレンツォのオイル』というエピソードが、この父と娘の物語を上手くまとめている。



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2 コメント

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そろそろ潮時か? (megumi)
2011-12-03 23:33:30
コウジさん  こんばんは

今日 録画を見ましたが
なんだかノリが悪くて仕方ありませんでした
私の視聴意識に本腰が入ってなかったのかな?

「相棒」も しだいに必見リストから外れていくのかしら?と危惧しました
薫ちゃんとのコンビ・・・懐かしいです
返信する
今回は…… (コウジ)
2011-12-04 08:19:48
megumiさん

いつもありがとうございます。

確かにミステリとしては物足りなかったですね。
今回は父娘のドラマとしても描き込みが足りなかった。
それと右京と神戸の連係プレイも途中でわかってしまいましたし。

これらがノリが悪いと感じられた理由かもしれませんね。
「相棒」は、どうしても以前のクォリティと比較されてしまうので、製作者にとっては大変な作品ですね。
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