平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

『廃墟の休日』(テレビ東京)が面白い!~僕たちはなぜ廃墟に惹かれるのだろう?

2015年07月31日 | ドキュメンタリー
 廃墟。
 どうして僕たちはこの場所に惹かれるのだろう?

 幽霊が出そうな不安
 かつては人がいて会話や笑い声が溢れていたのに、現在は沈黙
 諸行無常
 虚無
 死の空間……

 通常の旅番組が、その土地の食などを紹介し、<生>を扱うのに対し、『廃墟の休日』は<死>だ。
 『ブラタモリ』は過去にさかのぼるが、切り口は知的・学術的であり、<死>の雰囲気はない。

 第3話で紹介されたのは、世界遺産になった長崎県・軍艦島の隣にある<中ノ島>だった。
 この中ノ島、軍艦島で暮らす人たちが遊びに来る遊園地であったらしい。
 同時に軍艦島で暮らす人たちの火葬場もあった。
 遊園地と火葬場が同居しているのが面白い。

 しかも、それらの施設、すっかり朽ち果て、自然が侵食して草木が覆い、目の前のオブジェが何であったかよくわからない。
 注意して見れば、それがかつて遊園地のすべり台であったことが、かろじてわかる。
 劇中、太い木に絡まれたコンクリートの柱が紹介されていたが、これなどは何に使われていたか、地元の人でもわからなかった。
 かつては何らかの意味のあったオブジェだったのだろうが、記憶の風化と共ともに意味が失われ、ただのコンクリートの柱になってしまった。
 このことを、番組のナビゲーターである俳優の安田顕さんは「遺跡だ」と言っていたが、なるほど、これはもはや<廃墟>でなく<遺跡>なのだ。
 英国のストーンヘンジが何に使われていたかわからなくなったように、このコンクリートの柱も遺跡化している。

 中ノ島では、自然の力も実感させられた。
 島のオブジェを覆い尽くす植物。繁茂する草。絡みつく木。
 それらの勢いはまさに人間のちっぽけな営みなど、あざ笑うかのようだ。
 都市は自然を管理して排除する人口空間の最たるものだが、いったん人の営みがなくなると、たちまち自然が侵食してくる。
 自然は圧倒的な生命力で溢れている。

 廃墟は日常で僕たちが目を背けている真実……死や無常や人間の無力や哀しさを感じさせてくれる。 


 『廃墟の休日』は毎週金曜日・深夜0時52分よりテレビ東京系で放送中。
 HPはこちら。
 『廃墟の休日』(テレビ東京)

 

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