平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 最終回 「時間よ止まれ」~まーちゃん、面白いオリンピックを実現! 四三は54年ぶりにマラソン完走! 美川はストックホルムに?

2019年12月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 国境、宗教、民族、人種を越えた平和の祭典だった。

 閉会式。
 国ごとに入場することなくグチャグチャ。
 各国の選手が入り乱れてお祭り騒ぎをしている。
 日本の国旗のそばにはザンビアのプラカード。
 見事に国境、宗教、民族、人種を越えましたね。

 開会式では、参加できなかったインドネシアと北朝鮮の国旗を本部で掲げた。
 政治を越えてすべての国が集うのがオリンピックだからだ。

 2020年の東京オリンピックでは『旭日旗』を掲げるのがOKだそうだけど、やめた方がいいよ。
 そこには政治的なメッセージがあり、不快に思う国があり、平和の祭典が台無しになってしまう。
 全然、楽しくない大会にしたいのなら、どうぞやって下さい。
 旭日旗を掲げる「今の日本は世界に見せたい日本ですか?」
 ………………

 登場人物たちがすべて報われましたね。

 まーちゃん(阿部サダヲ)。
 国境を越えた平和の祭典を実現できた。
 治五郎先生(役所広司)には、
「面白い! 実に面白い! 田畑、私は改めて君に礼を言うよ。ありがとう」
 と言われた。
 菊枝さん(麻生久美子)は「ご苦労様でした」

 五りん(神木隆之介)も報われた。
 出入りをふたたび許され、子供が生まれた。
 祖母のシマ(杉咲花)が走り、父の小松勝(仲野太賀)が走った芝から浅草までを走り、志ん生(ビートたけし)の『富久』が絶品であることを確認できた。
 父親を追い求めていた五りんは、今回やっと父親を取り戻せたのだ。
 そして本人も父親になった。

 志ん生も報われた。
 芸人にとっての勲章とは何か?
 芸を褒められること。
「俺の『富久』どうだった?」
「絶品です」
 芸人にとっては、これだけで十分なのだ。

 金栗四三(中村勘九郎)も報われた。
 54年ぶりにストックホルムを訪れて、ついにマラソンを完走!
 そのタイムは「54年8ヶ月と6日、5時間32分20秒」
 まさか最後にこういう仕掛けをしてくるとは!(笑)

 人は自分に欠けたものを追い求めて生きている。
 まーちゃんの場合は『東京オリンピック』。
 五りんは『父親』。
 志ん生は『絶品の芸』。
 四三は、本人はとっくに忘れてしまっていたが、『ストックホルムでのマラソンの完走』。

 人の成功に大小はない。
 要は自分が満足するか。
 欠けているものを埋められるか。
 この点でまーちゃんたちは幸せであったことだろう。
 四三は金メダルを獲れなかったし、聖火ランナーにもなれなかったが、「54年8ヶ月と6日、5時間32分20秒」という記録を残せた!
 ………………

 一方、そんな最終回にも関わらず、相変わらずフラフラしているやつがいる(笑)
 美川秀信(勝地涼)だ。

 ネットでは、
「美川は国立競技場の前でダフ屋をやってるに違いない」
「選手のブロマイドを売ってるに違いない」
 と美川探しがおこなわれていたが、何とストックホルムにいた!

 
 金栗夫妻には相変わらず気づかれていないけど、後ろの影の人物は美川?

 美川、やはり侮れない……。
 ゴキブリのようにしぶとい……。

 志ん生を乗せたタクシー運転手として宮藤官九郎さんが出ていたが(コーヒーのCMと逆)、遊び心あるなあ。

 というわけで、
 金栗四三がストックホルムで完走したように、『いだてん』完走しました!

 登場人物たちが走っていたように、僕たちも走り続けたいですね。
 たとえゴールが見えなくても、困難があってくじけそうになっても。
『すっすっはっはっと走る四三』や『しゃべりまくるマーちゃん』を心に刻めただけで、この作品は成功だと思います。


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2 コメント

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「慎ましく報われる」物語 (TEPO)
2019-12-16 18:42:20
>旭日旗を掲げる「今の日本は世界に見せたい日本ですか?」
>全然、楽しくない大会にしたいのなら、どうぞやって下さい。

私は最初から2020年は「全然、楽しくない大会」だと思っていますので、呆れ具合が増大するだけのことです。

>国境、宗教、民族、人種を越えた平和の祭典だった。
>閉会式。国ごとに入場することなくグチャグチャ。

これ、現在まで記憶に残っており、「最高の演出」だと思っていました。
しかし、本作によれば運営側が選手たちをコントロールできなかったことによる偶発的事態だったのですね。
おそらくは史実を踏まえているのでしょう。
この辺、ちょっと複雑な思いです。

>登場人物たちがすべて報われましたね。

何とも慎ましい「報われ方」ですね。
まあ、それが人生の現実であることには間違いないのですが、視聴者のカタルシスには結びつきそうもありません。でも

>そのタイムは「54年8ヶ月と6日、5時間32分20秒」
これは金栗四三についての有名な史実で、映像も本物の金栗氏だったようです。

>人の成功に大小はない。要は自分が満足するか。欠けているものを埋められるか。

敢えて「リアルで、慎ましく報われる」物語にとどめたところが宮藤官九郎流なのでしょうね。
派手な「感動のフィナーレ」とすることにより、手放しの「オリンピック賛美」に流れることが無かったところが良かったと思います。
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走る金栗四三 (コウジ)
2019-12-16 21:22:39
TEPOさん

いつもありがとうございます。

閉会式でゴチャゴチャになるのは今も続いていますよね。
これが1964年の東京オリンピック発であったことは知りませんでした。
しかも意図されたものでなく偶然であったとは!

カタルシスに関しては、僕は田畑と四三に関しては感じました。
特に四三に関しては上手いまとめ方。
ストックホルムも粋なことをしましたね。

志ん生に関しては、これが芸人の勲章なんだ、という作家の意思を感じました。

とは言え、
今作は基本『落語』なので、劇的に盛り上げるということをしないんですよね。
「感動のフィナーレ」よりはいかにきれいにサゲるかに焦点が置かれている。
そして、おっしゃるとおり、これが宮藤官九郎流。宮藤官九郎のスタイル。

本文最後にも書きましたが、
僕は『走る金栗四三』はずっと忘れないと思います。
おそらく人生の節々で思い出して、走る力を与えてくれそう。
これだけでも収穫があったと思っています。
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