平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第13回 「復活」~ラザロ、大森兵蔵にタスキを託されて四三は走る! 死は易く、生は難し!

2019年04月01日 | 大河ドラマ・時代劇
「人、笑はば笑え
 ストックホルムにて重任を全うすることあたはざりし口惜しさ
 死してなお足らざれども
 死は易く、生は難く
 粉骨砕身して
 マラソンの技を磨き、
 もって皇国の威をあげん」

 四三(中村勘九郎)は『皇国の人』だったようだ。
 国のためにがんばり、責任を全うし、国のために生きる。
 少なくとも個人主義者、社会主義者、無政府主義者ではない。
 まあ、明治の世なら大抵の人がそうだったのだろう。

 それはともかく、注目すべきは次の言葉だ。
「死は易く、生は難く」

 そう、生きることの方が大変なのだ。
 生きていれば失敗、挫折ばかり。
 絶望もするだろう。
 それでも前を向いて歩き続けなければならない。
 負けても何とか立ち上がることこそが素晴らしい。

 実際、世間の目なんか一時のことで、ほとんどの人は忘れる。
 屈辱も一時。
「笑はば笑え」と開き直ればいい。
 実際、後の世で志ん生(ビートたけし)の落語のネタにされているが、その笑いに悪意はない。
 治五郎先生(役所広司)や三島弥彦(生田斗真)のような戦友もいるし、スヤ(綾瀬はるか)のように信じて応援してくれる人もいる。
 …………

 生きている者は死んだ人の遺志も引き継いで生きていく。

 日射病の髄膜炎で亡くなったラザロ。
 四三は彼の分まで生きて走る。
 ラザロの命を奪ったマラソンをなくしてはならない。
 マラソンがなくなってしまったらラザロの存在自体も無になってしまう。

 余命幾ばくもない大森兵蔵(竹野内豊)に対してもそうだ。
 大森の著書『陸上運動競技法』。
 そしてオリンピックへの想い。
 体力と技術の向上→結果としてのオリンピックでの日本の勝利。
 四三は大森の想いを引き継いで生きていく。
 ウジウジ落ち込んでいる暇などない。

 四三はラザロと大森からタスキを託された。
 四三は『駅伝』の考案者らしいけど、駅伝の発想はこういう所から来たのかな?
 タスキを託されて走る。
 みんなで協力して勝利を得る。
 あるいは、
 日本人に長距離はまだきついし、ラザロのような悲劇が起こるかもしれないから、長距離をみんなで分担して走ることを思いついた。

 志ん生パートは、四三のテーマを踏襲。
 若き日の志ん生、美濃部孝蔵(森山未來)は泥酔して高座はメチャクチャ、途中で降板。
 でも、その『富久』は躍動感にあふれ光るものがあった。
 失敗の中にも光るものはある。
 失敗をとおして人は成長していく。
 失敗は芸を磨くための肥やし。
 だから、清さん(峯田和伸)のこの言葉。
「(質から)入れたり出したりしたらいいじゃないか。嘉納治五郎のように」
 そう、いったんは質に入れても、また取り戻せばいいのだ。


コメント (2)
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