平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第6回「お江戸日本橋」 ~金栗君、日本のスポーツ界のために黎明の鐘となってくれたまえ!

2019年02月11日 | 大河ドラマ・時代劇
「紛争の絶えないヨーロッパにおいてクーベルタン男爵は古代オリンピックを復活させ、スポーツによって平和を唱えたんだよ」

「勝海舟先生が日米修好通商条約を結ぶためアメリカに渡った時、日本人の使者はちょんまげに袴、腰には刀をぶっ差してた。
 そりゃあ、山猿と笑われただろう。
 何事も最初はつらい。自信もなかろう。
 しかし、誰かがその任を負わねば革新の時は来ない。
 スポーツもしかり、ここで誰かが捨て石となり礎にならなければ次の機会は4年後にしかやって来ないんだ。
 金栗君、日本のスポーツ界のために黎明の鐘となってくれたまえ!」

 これ、『ファーストペンギン』ですね。
 最初に海に飛び込んだペンギンは偉い、というお話。
 都知事の小池百合子や朝ドラ『あさがきた』で五代さんも言ってた。

 クーベルタン男爵、勝海舟、そして嘉納治五郎(役所広司)。
 何事も最初に始める人は大変だ。
 不安もあるし、理解も得られないし、資金も集められない。
 でも何かを始めた人が新しい世界を切り拓いてきた。

 とは言え、これを『いい話』で終わらせないのが宮藤官九郎流。
 借金苦の治五郎先生は四三(中村勘九郎)に渡航や滞在資金について
「これはあくまでも提案なんだが、あの、君が出すっていうのはどうかな?」(笑)
 四三(中村勘九郎)は手紙で、
「嘉納先生の口車に乗せられた」と語る(笑)

 現実とはこういうものなんですね。
 理想やカッコいいことを言っていても裏ではイジイジ悩んでいる。
 兄へのお金の無心の時も四三はイジイジしてて、最終的にはカンチョでポストに投函した(笑)
 こういう人間観好きです。
 僕はむしろ人のカッコ悪い部分に惹かれる。
 それにしても治五郎先生に二度目のハグをされて四三はうれしそうでしたね。
 ……………

 四三が走ることの天才であることを示すエピソードもあった。

 兄への手紙で、
『オリンピックの予選とは知らず世界記録を出してしまった』(笑)
 四三には『世界記録を出したこと』や『オリンピックの予選』に何の気負いもない。
 凡人は『世界記録を出すこと』や『オリンピックに出ること』を最大の目標にしてがんばるのに、四三にはそれがない。
『世界記録』も『オリンピック出場』も自然体でやっていたら、たまたまやって来た。

 これが天才なんだろうなあ。
 一方、もうひとりの天才・美濃部孝蔵(森山未來)、後の古今亭志ん生。
 師匠の薫陶もあって、孝蔵は走りながら噺を覚えた。
 走ることで落語の世界の人々の気持ちを理解して噺をリアルなものにした。

 四三も孝蔵も『体で覚える人』なんですね。
 おおむね人は体を疎かにして、頭でっかちになりがち。
 頭で考えすぎて自滅してしまう。
 おそらく孝蔵にも『日本一の噺家』になってやろうなんて思いはないだろう。
 ただ話したいから話す。
 自分の落語の世界を表現することが楽しいから話している。

 上野~浅草~人形町~日本橋~銀座~新橋~芝。
 別々の道を歩んでいた四三と孝蔵の道が交わり始めた。

 ふたりはともかく走る。
 走りながら考える。

コメント (2)
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