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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第41回 「新しき国へ」~やっせんぼ! やり抜け、最後までやり抜くんじゃ! やって、そいでも倒れた時は薩摩に帰ってこい!

2018年11月05日 | 大河ドラマ・時代劇
 久光(青木崇高)のせりふが面白い。

「こん、やっせんぼ!
 やり抜け! 最後までやり抜くんじゃ!
 やって、やって、そいでも倒れた時は薩摩に帰ってこい!
 あとは若い者に任せればよか」

 このせりふ、斉彬(渡辺謙)が久光に乗り移って言わせたと解釈するのが正解だろう。
 これまでの文脈で言えば、久光が「やり抜け」と叱咤激励するのはかなり飛躍している。
 とは言え、同時に
 西郷(鈴木亮平)の弱気に思わず言葉が出てしまったとも解釈できる。
 久光と西郷、いろいろ屈折した主従関係だ。
 久光は西郷を敵視し切腹までさせようとし、西郷は久光を騙し利用した。
 だが、最後の最後でわかり合えたという感じか?
 久光は〝古い体制を壊し、新しい国をつくらなければならない〟という西郷のひたむきな思いを理解したのだろう。
 そこには主従関係や利害を超えた、ひとりの人間としての思いがある。
 ………………………

 西郷は新政府の現状に悩み、苦悩していた。

 各地で起きる大規模な一揆。
「徳川の世の方がよかった」という民の声。
 山県有朋(村上新悟)の汚職。65万円(現在の100億円)の不正融資とキックバック。
 新政府内での権力闘争。派閥争い。
 久光の「これがお前がわが兄・斉彬公と共につくりたかった国か?」という問いかけ。

 どれもが西郷を苦しめるものだった。
 戊辰戦争で死んでいった者たちや徳川の人々の思いもある。

 西郷はまっすぐで、優しすぎる。
 俗っぽくて感度が鈍くなければ政治家などやっていられない。
 利権と権力闘争こそが政治家の主な仕事だ。
 そこに民は存在しない。

 そんな西郷にとっての唯一の救いは、久光も言った〝若い力〟だろう。
 その象徴が菊次郎(今井悠貴)だ。
 菊次郎は天子様を見て、天子様、国、民のために生きたいと考えるようになった。
 村田新八(堀井新太)、川路利良(泉澤祐希)、中村半次郎(中村瑠輝人)ら、ひとつ下の世代もまだ権力の垢にまみれていない。

 さて、これら〝純粋さ〟の行き先は?
 菊次郎はこの先、何を見るのだろう?


※追記
 ディリースポーツに拠れば、
 久光のせりふ「やっせんぼ! やり抜け!」は演じた青木さんのアドリブだったそうだ。
 お見事!
 これを採用した監督さんも素晴らしい。

コメント (4)
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