平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第44回 「士族たちの動乱」~強権的な大久保から離れ、西郷のもとに集まってくるかつて仲間たち。大久保は孤独だね

2018年11月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 不満士族に慕われ、巻き込まれていく西郷(鈴木亮平)。
 強権的でダークサイドに落ちていく大久保(瑛太)。
 西南戦争は間近である。

 人は望む望まないにかかわらず、大きな歴史の渦に巻き込まれていくんですね。
 西郷がその例。
 太平洋戦争に巻き込まれていった国民もそうだ。

 権力者は政敵を怖れ、それを排除するためにどんどん強権的になっていく。
 一方、強権的になればなるほどその反動は激しい。
『国家ノ大敵』『奸臣大久保』
 憎まれてるな、大久保利通。

 そして憎しみを受ければ受けるほど、人の心は闇に落ちていく。
 大久保の闇の最たるものはこれだろう。
 佐賀の乱の江藤新平(迫田孝也)をさらし首にして、乱を起こすとこうなるぞ、と反乱士族たちを暗に脅し、こう語る。
「(見せしめになることが)江藤さんの最後のお役目にございます」
 だが、これでおとなしくならないのが人の心というもので、大久保への憎悪はますます募っていく。
 憎しみの連鎖だ。
 力で抑えれば、憎しみや怒りが鬱積し、やがて力で報復される。
 ……………

 大久保が孤立していくのに対し、西郷のもとに人が集まってくるのがドラマの構造として面白い。
・陸軍近衛兵だった300人の薩摩士族たち。
・村田新八(堀井新太)
・中村半次郎(中村瑠輝人)
・私学校の創設に「仕方ないな~」とぼやきながら協力した県令 大山綱良(北村有起哉)
 皆、西郷と子供時代からのつき合いで、苦楽を共にした仲間だ。
 海江田信義(高橋光臣)も大久保から人が離れていくことにほくそ笑んでいる。
 一方、大久保のまわりには誰もいない。
 いたとしても、仕事上の上司と部下の関係であったり、国家のためという繋がりだ。
 大久保は孤独だねえ。
 強大な権力を持ったけど、果たして彼は幸せだったのか?

 そんな大久保が人間に戻る瞬間があった。
 妻・満寿(美村里江)を東京に呼んで住み始めた本宅から、妾のゆう(内田有紀)が出て来た時だ。
 あせり、うろたえる大久保。
 強大な権力を持っている大久保が妻を怖れ、妾の行動を管理できていない所が面白い。
 一方、妻と妾はしっかり話し合いで、決着をつけている。
 暴力で問題を解決しようとする男たちと違って、女性たちは何と聡明で平和的なことか。

 糸さん(黒木華)も存在感を見せた。
 血気に走り、西郷を巻き込もうとする、薩摩士族たちに一喝。
「勝手なこと言わんでくれやい。今度は自分で走る番じゃなかやですか?」
 西郷に頼らず自分たちで考えて行動しろと士族たちに言っているのだ。
 同時に糸は直観で、いずれ西郷が巻き込まれることに気づいている。

 最後はこれ。
「官も要らず、名も要らず、これが薩摩隼人の心意気でごわす」
「しがらみから離れた清々しい気持ち」

 大久保さん、そして現代の地位に恋々としてしがみついている政治家たちよ、権力ってそんなにいいものなのかね?

 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする