平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

半沢直樹 第1話~やられたらやり返す。それが私の流儀だ

2013年07月09日 | 職業ドラマ
 堺雅人にはずれなし!

 物語は巨大な組織と闘う個人。
 個人である半沢直樹(堺雅人)が持っている武器は、明晰な頭脳と剣道の腕。
 しかし、その頭脳も迷ったり、弱気になったり、優しかったり、非情になれなかったりで、時としてフラつく。
 剣道の腕も案外頼りなくて、不意をつかれて、東田社長(宇梶剛士)の愛人(壇蜜)にやられてしまう(笑)
 この半沢の性格の根底にあるのは、「他人との信頼と繋がりこそが大切だ」という父親(笑福亭鶴瓶)の教えだ。
 これは諸刃の剣で、弱点にもなるが、強みにもなる。
 ラスト、竹下清彦(赤井英和)が協力を申し出てくれたのは、半沢が他人との繋がりを大事にしたからこそ。
 巨大組織にはそれがない。

 悪役もはっきりしているからわかりやすい。
 この前にやっている『八重の桜』が視点がさまざまで、善悪がはっきりしていないから、尚更そう感じる。

 庶民は、理不尽で巨大な悪と闘う主人公を見たいのだ。
 しかも、主人公が迷い、自分の弱さと向き合いながら闘うから感情移入できる。
 特筆すべき能力もなく、自分の智恵をギリギリまで絞って闘うから共感する。
 また時代劇の決めぜりふのように半沢は叫ぶ。
「私が全責任を持つと言ったのはウソだったんですか!? あなたの言うことは信用できません!」
「部下の成功は上司の手柄、上司の失敗は部下の責任。やられたらやり返す。それが私の流儀だ」
「だったら、あんた達は何のためにいる? 責任が取れない本部審査に何の意味がある? そんな融資部なら必要ないやめてしまえ!」
「さっきから都合のいいことばかり書いてんじゃねえぞ、記録! 今から言うことを書き留めとけ!」
 会社生活で神経をすり減らしているお父さん(あるいはOLさんたち)は、これで拍手喝采するのだ。

 また、主人公を応援する仲間たちがいるのもエンタテインメント。
 それはどこかアニメ『ワンピース』などにも通じるものであるが、たとえば妻の花(上戸彩)なんかは仲間として良い感じ。
 彼女は物事の本質を理解していて、たとえば半沢が結婚記念日をすっぽかした時も半沢を責めるのではなく、急ぎの稟議書を作らせた支店長に怒る。
 また、どんなことがあっても彼女は夫を信じている味方だ。
 こういう妻の姿にお父さんたちは涙するのだ。
 また、こういうドラマでは通常、主人公の家庭がうまくいっていなくて、妻とも疎遠という描写が多いのだが、この作品ではそういう面倒くさい設定は作らない。
 この点もわかりやすくていい。

 テレビドラマから、お父さんたちが楽しく見られる作品が消えて久しい。
 そうですよね、日曜日の夜くらいは、お父さんのためのドラマがあってもいいですよね。
 これで月曜日からの仕事にがんばれる。


コメント (4)
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