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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 「通報者」

2011年01月28日 | 推理・サスペンスドラマ
 ふたつの謎が絡み合うなかなかのミステリー。
 ひとつめの謎は、殺された恐喝者・笠井俊子(益田ひろ子)の犯人は誰か?
 ふたつめの謎は、通報者の中学生・藤吉祐太(溝口琢矢)が何を隠しているのか?

 特にふたつめの祐太の描かれ方がいい。
・祐太はなぜ通報時に名前を名乗らなかったのか?
・ 〃 なぜ右京(水谷豊)たちを家に入れようとしないのか?
・ 〃 なぜ学校のいじめでで暴力をふるわれても反撃しなかったのか?
・祐太と笠井俊子が生け花を教えていた宗方綾乃(堀ひろこ)との関係は?

 これらがすべて祐太の謎につながっている。(以下ネタバレ)

 すなわち……

 <母親が祐太たち兄妹を捨てていなくなり、生活保護をもらうために叔母に頼んで母親がいるように見せかけていた。綾乃は母が駆け落ちした男の妻。通報しなかったのは事件に関われば、刑事が家にやってきて、母親のことがバレる可能性があるから。暴力を受けても反撃しなかったのは、事件を起こせば、母親が学校に呼ばれることになるから。結果、生活保護費の詐欺が明らかになり、祐太たち兄妹は施設に送られ、離ればなれになってしまうから>

 何ともせつない真実である。
 中学生の男の子がこんな思いを抱えて、必死に嘘をつき、世間と闘っていたなんて……。
 母親がいなくなっただけでもつらいのに、それを乗り越えて妹との生活を守ろうとしたなんて……。
 なので、右京が祐太に言った「君は十分に頑張った。もう頑張らなくてもいいんですよ」という言葉が胸を打つ。

 自分の中に悩みを抱えて、誰にも相談できずに生きていく孤独。
 現代では心を解き放つことは難しいのか?
 そう言えば、「Q10」でも「助けて~!」と叫べない高校生たちが出て来た。
 祐太が「助けて!」と誰かに言えれば、背負っていたものは少しは軽くなったのに。

※追記
 右京が祐太にたどりつくまでの過程が見事。
 インスタント写真機の中に落とされていたコンビニのレシート(レシートには買い物をした時の日時が記載されている)→同時刻のコンビニの防犯カメラで、履歴書を買っている祐太を発見→コンビニの前でたむろしていた中学生に防犯カメラに映っていた写真を見せて祐太であることを確認。
 この過程は直接描かれず、右京のせりふのみで語られるが、この省略のされ方も見事。
 これをいちいち映像で描いていたら、深いドラマは描けませんからね。
 そして、その他のドラマはこれを描いてしまい、退屈で冗長になってしまう。


コメント (2)
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