平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

JIN -仁- 第5話 主人公は戦っているか?

2009年11月09日 | 大河ドラマ・時代劇
 第5話は<プラス思考のススメ>ですね。
 「泣くも人生、笑うも人生。同じ人生なら笑った方がいい」
 プラス思考ですね。こんなのもある。
 仁(大沢たかお)いわく「死もまた救い」。
 咲(綾瀬はるか)もこんなことを。
 「夕霧さんが笑って逝けたのはペニシリンのおかげ」
 すべてを肯定的にとらえる。
 これは人生を明るく生きていく知恵ですね。

★さて今回は第5話の構成について
 第5話は四つの構成で描かれている。
 ひとつめは、仁がペニシリン製造を決心するまで。
 ふたつめは、ペニシリンが完成するまで。「十八番が薬効あり」とわかるまで。
 三つめは、野風の治療と彼女の死まで。
 四つめは、仁と咲の会話。「笑って逝けたのはペニシリンのおかげ」というせりふのシーン。

 実にすっきりしたわかりやすい構成ですね。
 ちなみにこの四つの区切りとしてCMが入っている。
 このわかりやすさの理由は葛藤がきっちり描かれているから。
 ひとつめでは、20世紀に発見されるペニシリンをこの時代に作っていいのかという仁の葛藤。
 ふたつめは、ペニシリンが完成するかどうかの葛藤。
 三つめは、夕霧が治るかどうかの葛藤。

 これを仁が何と戦っているかと言い換えてもいい。
 ひとつめでは自分との戦い。ペニシリンを作るべきか否か。
 ふたつめはペニシリンとの戦い。
 三つめは夕霧の病との戦い。

 このように<葛藤><戦う対象>が三つもあることが物語を起伏のある豊かなものにしているんですね。

★最近の他のドラマは主人公が何に悩み、何と戦っているかがよくわからない作品が多い。
 あるいは戦っていない主人公が多い。
 同じ日の「天地人」では、兼続と景勝は「豊臣ではなく徳川に味方する道を選んだこと」に悩んでいて一応ドラマになっているが、戦ってはいない。
 <徳川に味方すること>は決まっていて、そのことに悩んでいるだけである。
 そして亡くなる仙桃院の言葉で救われるというドラマの構成になっている。
 しかし、これではイマイチ。
 視聴者は悩みながら戦っている主人公を見たいのであって、ウジウジ悩む主人公を見たいのではない。  
 
 これが「仁」と「天地人」の面白さが違う理由だ。

※追記
 咲の見せ場。
 「わたしは医を志す者でございます」
 髪を解いて
 「どなたかお着物をお貸しくださいませ」
 主人公だけでなく、サブキャラクターの見せ場も用意している。
 これも面白さの秘密。

 ただ今回は龍馬(内野聖陽)の出番が少なかったのが寂しいですね。

※追記
 もうひとつ構成について。
 四つめの仁と咲の会話。
 これは葛藤ではありませんが、起承転結の<結>の部分です。


コメント (2)
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