桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・3・9

2009年03月10日 | Weblog
母校が旧制の府立9中だったことに因んで毎月9日にO君が中心になって続けている高校のクラスメイトの集い。毎月となると参加者は多くて四、五人。下手をするとO君以外に一人しか来ないことがある。今日はその後者。でも、初めて来てくれたK君とはクラス会以外に会ったことがなかったし、商船大学を出て外国航路の船長をしていた彼の話は興味溢れるものだった。俺にとって興味ある話を出来たお客さんがK君だとすると、Mにとって興味あるお客さんはテレビAのプロデューサーTさんだ。Mは小学生の時からテレビAで放送していたS主演の刑事ドラマ『H』の大好きで、嫁入り道具に八年間分の『H』のビデオを持ってきた程の大ファンなのだが、Tさんはそのプロデューサーだったのだ。Tさんにとっても今や過去の作品となってしまい、大ヒットドラマ『A』の陰に隠れてしまった作品の大ファンと会えるとは思わなかったので、Mに内輪話を喋り続ける。それはMだけじゃなく、Tさんにとっても幸せな時間。二人共、それぞれ興味ある話を出来たりしたと云うことは、店は暇だったと云うこと。10時過ぎまで今日の公演のお客さんでイベントスペースは混んでいたけど、カウンターにはTさんの同僚のプロデューサーKさんとUさん、それにマネージャーのHさんだけ。部屋でまだ起きていたYちゃんと三人、きつねたぬきうどんを作って食べる。

2009・3・8

2009年03月09日 | Weblog
最近のイベントではカレーが人気薄なので昨日は六人分しか作ってなかったら、カレーのオーダーが続いて、あっと言う間にソールドアウト。だからって今日も同じ劇団の公演だし、カレーのオーダーが殺到するかと思うと、今までの経験上、翌日は何故か人気薄のメニューになったりする。だからと言って作らなくていいってことにはならなくて、開場時間の二時間前の四時には店に出て、ニンニクと生姜をみじん切りにする処からカレールー作りにかかる。カレーは作り置きが出来るから十五人分は作っただろうか?でも、ご飯は五合、七人分で充分だと思った。処が、処が、開場直後にカレーのオーダーが二人分、そしてそれからもカレー、カレー、カレー……七人分のご飯は三十分ほどでなくなってしまい、冷凍しておいたご飯を解凍して急場を凌ぐ。そして休憩時間に備えて更に五合のご飯を炊くが、ご飯ばかりか15人分のカレールーもそれも終演後にはなくなっていた。ウーン、恐るべしカレー感染パワー。おかげで月曜日のイベントは五時開演なので三時には店へ出向いてまたカレールー作りだ。勿論カレーばかりが出た訳ではない。ドリンクを含めて合計140オーダー。これだけ出るとかなりの消耗度で、当然の如く俺たち夫婦はYちゃんと一緒に閉店後焼肉屋へ直行だ。

2009・3・7

2009年03月08日 | Weblog
お昼過ぎ、本当はやらなくてはならないことがあったのだけど、MとYちゃんと三人、ブラッと散歩に出かける。西麻布から青山へ。目的もなく歩く。東京に61年余り住んでいる俺にとっても、この辺りは洒落たエリア。ましてや広島三原在住で16才のYちゃんにはちょっとした外国気分だろう。青山から渋谷への途中にあったスペイン料理の店にフラッと入る。生ハムを切って貰って赤ワインを飲んだりすると値段の割りには贅沢な気分。渋谷からバスで東京タワーに行くことになる。展望台に久しぶりに上がって東京見物をしようとしたが、長蛇の列で断念して、入り口前の庭でやっていた猿回しを見物。結構楽しく時間を過ごして、再び神谷町から飯倉、六本木までブラブラ歩き。地理を知った俺には近距離だけど、何処を歩かされているか分からないMやYちゃんは疲れたかもしれない。5時過ぎ店に入って、Yちゃんにはすき焼きを食べて貰っている間に、俺とMは開店準備にかかる。今日と明日は毎年恒例となってきた劇団リキマルサンシャインの公演。観客数も多く、またオーダーも凄いので覚悟していたけど、やはり今日もドリンクフード合わせて140近くの注文をこなす。そしてカウンターも土曜日なので暇だろうとタカを括っていたら、夕刊FのUさん、プロデューサーのKさんたち、脚本家のSさん、赤坂のクリニックのMさんたち六組ものお客さんが来てくれて、土曜日にしてはまずまずだったけど、その代償?として12時閉店の筈が3時閉店になってしまって、三人で食べにいく筈の焼肉はお預け。

2009・3・6

2009年03月07日 | Weblog
今日のイベント、アーティストカンパニー『響人』の公演は、七月に下北沢でやる三幕物の本公演の内、二幕だけを上演して、宣伝を兼ねたプレ公演と云う珍しい企画。俺は見ることが出来なかったが、こう云う面白い企画をやる劇団の本公演は是非見にいこうと思う。そんなことをそんな時間に思ったりする深夜一時すぎ。今日もイベントのお客さん以外は、同じビルの事務所に勤める女性三人組と法律事務所勤務のNさん、それにイチゲンの男女四人の合計八人だけ。売上も三万弱。完全敗北ムードで後片付けを終わり、帰り支度をしていたら、突然SミュージックのK君とH君がかなりの酩酊状態で乱入。更に顔なじみのOさんたちSミュージックの五人が続く。今日はK君の配属が乃木坂から市ヶ谷に変わったので、そのお別れ会とか。K君としては乃木坂で今までの仕事を続けていたかったらしく、その気持ちをみんなにぶつけて飲み続ける。ぶつけるのは気持ちだけじゃなく、グラスもぶつけたりするもんだから、破損したグラスが3つ。本当なら困った顔をして厭味の一つもいいかねない俺だけど、K君の気持ちが分かるので、黙って放置しておく。会社に不満があっても、そう簡単にやめられないサラリーマン。俺にはとてもやれなかったろう。

2009・3・5

2009年03月06日 | Weblog
朝起きて冷蔵庫を覗いてみたらあまり食べる物がない。でも、冷凍庫を覗いてみたら牛肉の細切れが三百グラム位あったので、解凍して挽き肉代わりに叩いてハンバーグを作ることにした。付け合わせはポテトサラダとトマトとゆで卵のフライ。ハンバーグは挽き肉でやるより細切れでやる方が断然美味い。夕方、今日はイベントがないのでMの妹Yちゃんを部屋から店に呼んでオムライスを作って食べさせる。アラビアータソースで絡めてとろけるチーズを混ぜたご飯で作るオムライスは我ながら抜群の味。こんな風に料理がうまく作れる時は頭の回転も早くてお客さんとの会話も弾むものなのだけど、この数日治まっていた花粉症の発作がひどい勢いでぶりかえし、おまけに何がストレスになっているのか歯が腫れて痛みだしたものだから、俺たちの結婚のお祝いをしに花束を持ってきてくれた先輩脚本家のHさんや、昔からの女友達Yさんの息子で航空会社のパイロット採用試験の最終審査まで残ったと報告に来たI大学のT君や、今年C大学に合格した息子さんを連れて来店した映画監督で教育評論家のHさんや、それからイニシャルじゃ自分だと分かってしまうので、ニックネームの頭文字でこの日記に登場させてくれと言っていた癖に、今日はそれすら書かないでくれと云う××さん、彼と一緒のベテラン新劇俳優のKさん、四月に自分がウチの店でプロデュースする斉藤ネコさんのライブのチラシが出来たと持ってきた歯科医のSちゃん、先日に引き続き今日もマグロとアボガドのわさび醬油和えをオーダーしてくれたプロデューサーのKさん、精神科医で受験評論家、そして映画監督でもあるWさんとも、鼻水とクシャミと歯の痛みが気になって殆ど話すことだが出来なかった。そして薬が原因してかひどく眠い。2時過ぎ部屋に帰ってテレビを見ている内にウタタネ。速くこの季節が去って欲しい。

2009・3・4

2009年03月05日 | Weblog
今日から三月一杯週一で劇団コラソンの公演が始まった。出演者が10人と云うのはウチのスペースには多すぎるし、観客が30人以下と云うのはウチのスペースにしても少ないけど、かぶり物あり、アキバ系のコスプレありで、結構楽しそうな芝居。時間的に許せば一度見てみたい。その公演が行われている間、カウンターにはシナリオ修行中のIさんたちのみ。でも、公演が終わった頃からプロデューサーのSさんとTさん、元女優で脚本家のOさん、某国営放送局プロデューサーのEさん、大手音楽出版社の重役Tさんたち、先日の五周年パーティで牡蠣の殻剥きを一人で頑張ってくれた日本画家のKさんが続々と来店してくれて、カウンターは満杯になった為、その後に久しぶりに来てくれたAさんたちとイチゲンのカップルは断らざるえなかった。そんなことがあると、やっぱり絶対改装してテーブルスペースを作ったりして席数を増やさなくてはと思ってしまう。いくらかかるか分からないけど、何とか資金を調達する決心を固める。それにしてもカウンターが満席になっても売上は27000円弱。お一人様3000円にもならない。この店の救済策はこの店を潰すことと云う経営の専門家の意見は正しいのだろうけど、俺は徹底抗戦する。

2009・3・3

2009年03月04日 | Weblog
何とか三時までに銀行に行き、今日こそ消費税と法人税合計60万円弱を支払おうとしたのだけど、昨日の売上を預金した段階で59万円強。数千円足りずに支払うことが出来なかった。ちょっと滑稽。五時に店で美術デザイナーのHさんと内装業者を交えて店の改装の打ち合わせ。作ってから五年も経つと、ここも直したい、あそこも直したいと云う場所が増えて来る。それを全部直すといくらかかるのか分からない。とりあえず見積もりを出して貰うことにしたけど、現段階でお金を工面するアテはない。それなのにどうして改装に踏み切ろうとしているのか?とんでもなく大胆不敵。今日のイベント『映芸シネマテーク』は濱口竜介監督の『PASSION』の上映。東京芸大大学院の卒業製作として作られたこの映画は一部で評判がよく、去年の映画芸術ベストテンでは堂々5位に入っている。なかなか見ることが出来ない映画だし、カウンターにお客さんが来る途中まででも見ようと思ったのだけど、そんな俺の気持ちを知らずに上映中はカウンターで過ごすことにした監督に明太子パスタを注文されてしまう。お湯を沸かしてパスタが出来上がるまでに15分強。もう映画を見ても仕方ない。監督が明太子パスタを頼んだから監督の処女作を見逃してしまうと云うパラドックス?何だか今日は可笑しさと哀しみに彩られたバラードだ。

2009・3・2

2009年03月03日 | Weblog
スケジュール表をみると当初三月は月の半分以上イベントの予定があった。特に日曜日と祭日は全て埋まっていて、これじゃ一ヶ月以上は二人共休みが取れないと嬉しい様な哀しい様な声をあげていたのだ。処が、どうしたことか次々にキャンセルが発生。月後半の日祭日が全て空白になってしまった。「労働者」としてはホッとしたものの、これで約70万から80万の売上が消えたことになり「経営者」としては頭を抱える。みんな仕方ない事情があってのことだと思うけど、何とかならなかったのか?そんな中、今日公演をした『劇団王子の実験室』の主宰者T君は見あげたものだ。1月に公演の契約書を交わしたものの、2月に入って彼から中止したいとメールが入った。理由は会社の休みをとろうとしたのだけど、許可が得られなかったと云うのだ。神奈川県の横須賀にある会社を5時に終わって乃木坂まで来るには1時間半以上はかかってしまう。普通で考えればとても無理だ。でも、俺はキャンセル料をウチに払う位なら公開リハのつもりで公演しろとけしかけた。最初は躊躇っていたT君もやがてその気になってくれて、リハは地元で、そして今日は先乗りしたスタッフに照明その他準備をして貰って、開場時間ギリギリに当人は横須賀から駆けつけて芝居を幕を開けたのだ。観客は20人弱。でも、あっぱれの一言。俺は見ることが出来なかったけど、好評だったらしいし、次回公演は是非みてみたい。カウンターの方は近所のシルバーモデルのMさん、バイオリンニストのMさん、プロデューサーのKさん、ベストワンのOさん、某国営放送局のIさんの五人だけ。Oさんが暇な店は落ち着けて居心地がいいと皮肉る。くそっ、近い内に落ち着けない店にしてやるっ。

2009・3・1

2009年03月02日 | Weblog
夕べ寝るのが遅くて11時近くに起きたMの妹Yちゃんに、外食するとしたらトンカツと寿司とどっちがいいと聞く。寝起きだし、どっちもいやだと云うと思っていたらトンカツが食べたいと云うもんだから、三人で白金にある行きつけのトンカツ屋『D』へ。そして180グラムのヒレカツをペロリ。さすが16歳の胃袋。いくら食い意地の張っている俺でも起きてすぐの食事にトンカツは少しヘビーだったが、Yちゃんに負けてはいられないとロース定食を完食。渋谷から原宿に買い物にいくMとYちゃんを見送って、俺は1時に店へ。今日はK大学の演劇サークル『フラッツ』の公演がマチネとソワレと二回あるので、そこから終日穴蔵の中。途中暇だったので店の将来や展開について考える。それを基に、四月から働いてくれる予定のY君と六時から打ち合わせ。まだ27歳なのに黒テントや劇作家の岸田理生が好きだと云う演劇青年。20歳の時からバーテン修行をしてきて、お酒と接客については一家言持つプロ。全てにおいてアマチュアで十年やってきた俺とは対照的だ。プロフェショナルな彼とアマチュアリズムの俺とがうまく融合してくれるとコレドも生まれ変われるのではないかと予感する。10時過ぎ店を閉め、MとYちゃんと近所の中華料理屋へ。本当は二人は焼肉を食べたかったらしいけど、さすがに一日二食も肉を食うのは61歳の俺には無理なので中華で手を打って貰ったのだ。22歳と16歳の若い女の子を連れて、深夜、春巻き大の大餃子9個と豚ネギ炒飯、麻婆豆腐、手羽焼き、もやし炒めを注文する俺は店の人や周りの客からどんな風に見られただろうか?

2009・2・28

2009年03月01日 | Weblog
午前中、今日のイベントの為に鍵を開けに店へ行こうと部屋を出た時、携帯を忘れたことに気づいて、取りに戻ったのに、何処を探しても携帯がない。Mに電話して貰うが、俺の着メロは聞こえない。となると、夕べ店に忘れてきたのかも知れないと思い直して店に向かう。処が店の中を何処を探しても携帯は見つからない。店の電話で掛けてもみるが、着メロは聞こえない。じゃひょっとしてと夕べ乗ったタクシーのレシートを取り出して電話してみるが、しばらくして忘れ物として届いてないとの連絡が入る。ええっ、それじゃ俺の携帯は一体何処に?ちょっとしたパニックになる。携帯を持ってない時は持ってないなりに過ごしてきたのに、携帯所持が六年にもなると、連絡その他生活のかなりの部分を携帯に依存していることが分かる。データは一昨年バックアップしてあるけど、それ以後のデータはあの携帯の中だ。携帯を無くす筈なんかないとタカを括っていた俺が馬鹿だったとすっかり落ち込んでしまう。二三日待って出てこなかったら新しく携帯を買い直さなくてはと観念する。一旦部屋に帰り、MとYちゃんと三人、牛肉と野菜のスープ、チーズカナッペ、生ハムとレタスのサラダ、イチゴなどで食事するが、その間も頭から携帯のことが離れない為、食欲がなくなる。この間にも何人かの人から連絡が入っているのではないかと思うと落ち着かない。これゃ完全に携帯依存症だ。でも、その禁断症状は夕方店に再び出向いた時に呆気なく解決した。カウンターの上に携帯が無造作に置かれてあったのだ。ええっ、どういうこと?今日の劇団員の人が何処かに落ちているのを拾ってくれた訳?けど、皆知らないと云う。じゃ、お昼にきた時に既にここにあったと云うこと?それを俺は見落としたと云うこと?いや、着メロは鳴らなかったんだし、そんな筈はない。だったらどうしてここに?このどうでもいいミステリーは今現在解決してない。