男性客にもMのファンがいるのだろうけど、亭主の俺がそばで目を光らせているので、俺たちが夫婦であることを知らないか、人妻好きの男以外、口説いたり、食事に誘ったりはしない(というか出来ない)。だからか、Mのファンには女性客が目立つ気がする。特に自分にもMと同年配の娘がいたり、未婚でも母親年代の女性客は、Mと接していると母性愛が疼くのか、俺よりMと話したがる。今日で二度目か三度目の来店となるFさんもその一人。やたらとMの髪の毛の美しさを褒め、性格を讃えて、俺に同意を求めるもんだから、亭主の俺としてはどう受けていいのか分からず困ってしまう。そして一緒に飲んでいたS大学の同窓生であるJさんが経営する溜池の有名中華レストランに休みの日にいこうと誘う。一人で嫌だったらパパ(俺のこと)も付いてきていいからと、俺は完全におまけ扱いだ。他にも今日来店してくれた関西の女性プロデューサーTさんやH大使館のSさんたちもMのことを娘のように可愛がってくれる。それに法律事務所勤務のNさん、ベテラン新劇俳優のKさん、ベストワンのOさん、バイオリンニストのMさん、食品会社社長のBさん、プロデューサーのKさん、悠々年金生活のSさんたち、男性客や若い女性客もMと会話を弾ませている。こんなことを書いたりすると、俺が僻んだり、Mに嫉妬しているように見えるかもしれないけど、まぁ、どうにでもとってくれ。それより自分の妻がどんなに愛されているかをこうして日記に綴る亭主のアホ面よ。