桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2005.3.26

2005年03月27日 | Weblog
ウチの店はバーだ。表の看板にも『BAR COREDO』と書いてある。一般的にバーは酒を飲むところで、食事をするところじゃない。従ってバーには何処かで夕食を終えた後にゆっくり飲もうと思って集う人々が多い。ウチの店も例外じゃない。9時、10時までお客さんがいないことは珍しくない。でも、それじゃ困る。六時に開店して三、四時間は店が遊んでしまうからだ。で、何とかその時間にお客さんに来て貰おうと料理を用意する。料理があれば一軒目の店として使って貰える。ところが料理人を雇ったり、厨房設備を整える経費を割けないので、素人料理にならざるえない。素人にもプロ並みの料理人はいるし、素人料理にも旨い物はある。でも、素人料理は所詮素人料理と思われがちだ。一人で飲む時の肴としては通用しても、接待や友人同士で食事をしようと云う時にはイマイチになってしまう。結局、バーが料理を用意しておいてもその時間が遊んでしまうことには変わりない。やっぱり仕方ないか?……いや、仕方ないじゃすまされない。例え素人料理と言われようと何とか魅力的なフードメニューを作って早い時間をお客さんで一杯にしたい……そんなことを店を七年前に始めてからズッと思って来た。でも、試行錯誤、悪戦苦闘。創作料理めいた色々なメニューを作ってきた。今はなくなってしまった懐かしいメニューも一杯ある。高い原材料費をかけられないから、トコトン低コストで工夫した料理の数々。でも、最近それじゃ駄目だと思い出した。いい材料を使おう。いい食材を使って美味しい料理を作ろう。コストがかかってもいい。それでお客さんが来てくれる様になるなら少々のコスト高は目じゃない。それが顕著に現れたのがウチの店のすき焼だ。一人前1200円のすき焼に百グラム700円の和牛を使い、他の材料もいれると800円近くかかっている。お米も十キロ5000円以上のコシヒカリだ。カレーライスにも五種類もの香辛料やパウダーを使っているため、十人前を作るのに香辛料だけで五百円以上かかってしまう。最近始めたおまかせ小皿料理には鰻や数の子など高価な食材をどんどん使う。好評のオムライスも一個三十円近い卵を使う。それで料金を目一杯リーズナブルにする。例えば昨日用意したおまかせ小皿料理は、数の子と京みずなのサラダ、自家製松前漬け、カプレーゼ(モッツァレラチーズとトマト)、スペアリブのジンジャエール煮、鰻豆腐(冷や奴の上に鰻の蒲焼とネギのみじん切り)、タラモサラダなどの六点で二千円だ。充分リーズナブルと思うんだけど、どうなんだろ?いや、これからは九時ごろまでの時間をこの種のフード目当てのお客さんで埋めて見せると、お客さんが誰もいない店内でLちゃんに見栄を切った。