桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・4・22

2009年04月23日 | Weblog
今日はイベントがないし、部屋で八月にウチの店が主催するコレド演劇フェスティバル(仮称)の企画書を書こうとしていたら、六時過ぎに店からもうかれこれ一年半近く音沙汰のなかったT映画会社のTさんが来ているとの電話があったもんだから店に飛んでいく。店には他にも高校の同級生で元外国航路の船長をしていたK君や看護士のRさんたちが来ていて、料理も頼まれたのでなかなかTさんと話せなかったが、一段落して彼の隣に座ったら徐にTさんが元同僚で今は別の制作会社Kの社長をしていたAさんの死を告げた。享年58歳、去年から白血病を煩って入院していたという。Aさんとそんなに親しかった訳ではない。でも、今から30年程前、俺がT映画会社とオーストラリアとの合作映画の企画で生まれて初めて海外へ、それも一人きりで行くことになった時、窓口だったAさんは俺に代わって渡航手続きを全てやってくれた上、当日は羽田まで送ってくれたりした。そうだ、あの頃はオーストラアに行くにも成田ではなく羽田だった、なんてAさんのことを思い出している間につまらぬことまで思い出してしまう。結局その合作映画の企画は実現せず、Aさんはお疲れ会を開いてくれたり、その後もT映画会社のテレビ部に俺がシナリオが出来ずに言い訳に出向く度に、穏やかな笑顔で慰めてくれたりする優しい男だった。彼がK制作会社の社長になるのと俺がシナリオライターを廃業するのが殆ど同時だった。一度か二度広尾の店に来てくれた気がする。どんなことを話したのか覚えてない。その位のつきあいだ。でも、何故かAさんの穏やかな笑顔が忘れられない。単身海外にいく心細さも、シナリオが出来ずに担当プロデューサーに怒られ落ち込んでいる時も、Aさんの笑顔は俺にとって救いになってくれた。Aさん、心からご冥福をお祈りします。
★4/27(月)~5/6(水)まで店内改装工事の為休業いたします。