俺とＭ、食生活の相性は抜群だ。百％ではないけど、一緒に暮らし始めてから、どっちかがお腹を減らせば相手も減っているし、食べたいと思うものも殆ど一致する。俺たちみたいに24時間一緒にいる夫婦にとって、食生活の相性が合うと云うことはとても大事なことだ。反対に相性が徹底的に合わないことがある。一つは寝入り問題。俺はベッドに横たわると五分もしない内に意識が朦朧として来るのに、Ｍは寝入るのに一時間以上はかかるらしい。おまけに隣で俺が気持ちよさそうにイビキをかいていたりすると、もっと眠れなくなるみたいで、時々俺を突っ付いて睡眠を中止させようとする。寝入りばなを起こされると不愉快になるのは人間のツネで、俺たちはそれをきっかけに夫婦喧嘩に突入して、俺がソファに移って眠ることになったことも度々ある。もう一つはエアコン問題。真夏だと俺もエアコンを必要とするけど、今の季節になると例えドライにしていても寒くて、Ｔシャツの上にワイシャツを着てしまう。それなのにＭはドライでは暑がり、冷房にしたがる。元々の体温が違うこともあるし、体温の調節機能がおかしくなっているのかも知れない。でも、この問題は困ったものだ。年齢差があるのだから年上の人間が譲歩しろと言われても、こと肉体的な問題になると譲る訳にはいかない。私たちはこのことでも夫婦喧嘩する。でも、もうすぐ涼しい秋。この問題は休戦に入る。