就業規則~「懲戒事由」について
おおざっぱな言い方をしますと、国の場合は、刑法に触れるような悪いことすると刑罰が科されますが、それと同じように、労働者は労働契約を締結し会社に雇用されることにより、労働提供義務とともに、「企業秩序」を遵守すべき義務を負います。一方会社は、その雇用する従業員の企業秩序違反行為を理由として、その従業員に対して、懲戒を科すことができることとされています。(関西電力事件、最1小昭58.9.8)
国の秩序と同様に、従業員として会社に入れば、その範囲で、企業の中での秩序違反としての、懲戒処分ができるというわけです。
そして、労基法89条9号では、この懲戒をする場合には、就業規則において、その種類及び程度に関する事項を記載しなければなりません。これも、私流におおざっぱに言えば、国の刑法がどういう場合にどういう刑を与えるのかを決めていなければ、それに反したことはできないとされている、いわゆる「罪刑法定主義」の考え方と同様に、懲戒の種類及び程度が就業規則に記載されていない以上、それ以外の別の懲戒を与えることはできないとされています。ここで程度とは、どういう場合にという懲戒の事由についても、当然決めておかなければならないということです。
ただし、どういう種類及び程度であるかの具体的な内容については、労基法上は全く言及しておりませんので、使用者の任意ともいえます。一般的には、例えば、譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇等の種類があります。(ただし、減給については、労基法の上限がありますが・・・)
したがって、企業にとって悪しき行為があった場合に、該当する規定がない場合に、後から就業規則を整備し、さかのぼって懲戒を科すことはできません。そのため、全部を網羅することは不可能ですから、その他これに準じる行為として、包括条項を入れることは必要ですが、できるだけ考えられる行為は、懲戒事由として、記載しておくべきです。
(ただし、「明らかに企業秩序をみだし、企業目的遂行に害を及ぼす労働者の行為に対しては、使用者は準拠すべき明示すべき規範のない場合でも」懲戒処分ができるとされていますが、あくまでも例外として考えてください。昭26.7.18東京地裁決定、北辰精密工業事件)
リスク回避型就業規則・諸規定作成マニュアル(森紀男・岩崎仁弥共著、日本法令)では、合計で43項目(ただし、包括条項の2項目を差し引いて計算しています。)もあります。問題が起きたり社会経済の発展に応じて、必要とされる項目数が多くなっていくのでしょう。例えば、懲戒の事由として、セクハラ、会社のパソコンの不正な取り扱い、情報漏えいなども必要になってきました。就業規則もなるべく簡素化しなければ、労働者も見ないことになってしまい、それでは意味がないわけですが、こういった理由から、だんだんと就業規則は分厚くなっています。
最後に、前回紹介した、御社の「就業規則」ここが問題です(北村庄吾・桑原和弘著 実務教育出版)から、「一般的な懲戒事由~あなたの会社の就業規則に入っていますか?」のチェック項目として挙げてあるのは、次のとおりですので、あなたの会社の就業規則について、確認をしてみてください。
■経歴詐称など、入社時点での問題
■無許可行為、服務規律違反など、就業規則違反
■無断遅刻、無断欠勤など、勤務態度違反
■飲酒運転、傷害事件など、企業内外における犯罪行為
■指揮命令違反
■セクハラ、パワハラ
■企業内外における会社の信用を失墜させる行為
■包括条項
おおざっぱな言い方をしますと、国の場合は、刑法に触れるような悪いことすると刑罰が科されますが、それと同じように、労働者は労働契約を締結し会社に雇用されることにより、労働提供義務とともに、「企業秩序」を遵守すべき義務を負います。一方会社は、その雇用する従業員の企業秩序違反行為を理由として、その従業員に対して、懲戒を科すことができることとされています。(関西電力事件、最1小昭58.9.8)
国の秩序と同様に、従業員として会社に入れば、その範囲で、企業の中での秩序違反としての、懲戒処分ができるというわけです。
そして、労基法89条9号では、この懲戒をする場合には、就業規則において、その種類及び程度に関する事項を記載しなければなりません。これも、私流におおざっぱに言えば、国の刑法がどういう場合にどういう刑を与えるのかを決めていなければ、それに反したことはできないとされている、いわゆる「罪刑法定主義」の考え方と同様に、懲戒の種類及び程度が就業規則に記載されていない以上、それ以外の別の懲戒を与えることはできないとされています。ここで程度とは、どういう場合にという懲戒の事由についても、当然決めておかなければならないということです。
ただし、どういう種類及び程度であるかの具体的な内容については、労基法上は全く言及しておりませんので、使用者の任意ともいえます。一般的には、例えば、譴責、減給、出勤停止、懲戒解雇等の種類があります。(ただし、減給については、労基法の上限がありますが・・・)
したがって、企業にとって悪しき行為があった場合に、該当する規定がない場合に、後から就業規則を整備し、さかのぼって懲戒を科すことはできません。そのため、全部を網羅することは不可能ですから、その他これに準じる行為として、包括条項を入れることは必要ですが、できるだけ考えられる行為は、懲戒事由として、記載しておくべきです。
(ただし、「明らかに企業秩序をみだし、企業目的遂行に害を及ぼす労働者の行為に対しては、使用者は準拠すべき明示すべき規範のない場合でも」懲戒処分ができるとされていますが、あくまでも例外として考えてください。昭26.7.18東京地裁決定、北辰精密工業事件)
リスク回避型就業規則・諸規定作成マニュアル(森紀男・岩崎仁弥共著、日本法令)では、合計で43項目(ただし、包括条項の2項目を差し引いて計算しています。)もあります。問題が起きたり社会経済の発展に応じて、必要とされる項目数が多くなっていくのでしょう。例えば、懲戒の事由として、セクハラ、会社のパソコンの不正な取り扱い、情報漏えいなども必要になってきました。就業規則もなるべく簡素化しなければ、労働者も見ないことになってしまい、それでは意味がないわけですが、こういった理由から、だんだんと就業規則は分厚くなっています。
最後に、前回紹介した、御社の「就業規則」ここが問題です(北村庄吾・桑原和弘著 実務教育出版)から、「一般的な懲戒事由~あなたの会社の就業規則に入っていますか?」のチェック項目として挙げてあるのは、次のとおりですので、あなたの会社の就業規則について、確認をしてみてください。
■経歴詐称など、入社時点での問題
■無許可行為、服務規律違反など、就業規則違反
■無断遅刻、無断欠勤など、勤務態度違反
■飲酒運転、傷害事件など、企業内外における犯罪行為
■指揮命令違反
■セクハラ、パワハラ
■企業内外における会社の信用を失墜させる行為
■包括条項