元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

法定の休日を就業規則に定める場合は!!

2011-07-25 08:13:41 | 社会保険労務士
 就業規則~<法定休日の規定>について

 
 週休2日の場合は、日曜日に労働したとしても、土曜日に休ませていれば、1週間のうち1回は休ませることになるため、労働基準法(以下「労基法」と略します。)はクリアーすることになります。一週間に一日与える休日を労基法で定められた休日ですので、一般に「法定休日」といっています。それ以外の会社でさらに与える休日のことを「法定外休日」と呼ぶこととします。

 
 法定休日は、この日という「特定の日」を就業規則で決めていなければならないのでしょうか。厚生労働省が出した通知(以下「通達」略します)では、特定することが法の趣旨に沿うので、就業規則で具体的に一定の日を法定休日と定める方法を指導するようにされています。(昭23.5.5基発682号、昭63.3.14基発150号)、

 
 さらに、平成22年改正労基法では、一か月の時間外労働が60時間を超えた場合に5割増の割増賃金を要求していますが、60時間超の時間外労働には、法定の休日労働は、含めませんから、法定の休日労働を特定しておかないと、どれが法定の休日労働で、どれがそれ以外の、時間外労働(法定休日に働かせていない以上は、法定外の休日の場合は、この5割増の計算に当たっては、時間外労働の取り扱いとなります。)か、一般的には分かりづらいことになり、いつから月の時間外が60時間を超えたのかわからないことになってしまいます。そこで、法定休日を特定した方が、この5割増の休日の賃金の計算には、ベターということになります。


 ところで、法定休日に労働させた場合は、割増賃金は「休日労働」として3割5分増、法定外休日の労働は、「時間外労働」としての2割5分増となりますので、例えば、週休2日の場合、日曜を「法定の休日」に決めれば、日曜日の労働は3割5分増となってしまいます。しかし、特定しなければ、日曜日に労働させたとしても、土曜日に休日を与えるとすれば、その土曜日が1週間に一回の休日となり、この土曜日が「法定の休日」となりますので、結果として日曜日の労働は、法定の休日労働ではなく、時間外労働ですから、2割5分で済むというわけです。

 しかし、通達指導によって、就業規則等による法定休日の特定が望ましいのではありませんかという声がやはり聞こえてきます。一方で次のような通達もあり、実質上は、あらかじめ何曜日を法定休日とするような、特定することまでは要求しておりません。
 →平成11年の通達では、「何回か休ませた場合に最後の1回について3割5分以上の率で計算した割増賃金を就業規則等で定めることは、法定休日を明確にしていると認められる。」(平成11.3.31基発168号)

 ということは、週休2日のうち、日曜日に働いた場合、土曜日が法定休日となり、その残った土曜日もやむなく働かざるを得なかった場合は、その土曜日が法定休日となり、3割5分増しの賃金が支払われることになりますが、その3割5分増の賃金を払うことを、就業規則で規定した場合は、土曜日を法定休日と定めたこととなるとしています。勘違いしている方もいるかもしれませんが、週は日曜日からスタートしますので、週休2日を考えるときは、日曜日が最初の休日で、次に来る土曜日が最後の休日になります。ということで、この場合、この通達によって、土曜日を法定休日として特定したことになりそうです。(「労働時間完全実務ハンドブック」森・岩崎共著に同趣旨、ただし筆者はあくまでも、「特定」すべきと主張)

 そこで、もう一度労基法の規定を見てみましょう。「使用者は、労働者に対して、毎週1回の休日を与えなければならない。この規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者には適用しない。」(労基法35条)と規定されています。労基法は、週休2日の土日が休みの場合は、法定休日を日曜日とするような特定は要求していないところです。(安西愈著、採用から退職までの法律知識、中央経済社)、ただ1週間に1休日を与えることを要求しているだけであって、特定することまでは、法では要求していないところです。そこで、法では休日特定までは要求していないが、ちゃんと休日が定まっていないと労働者の保護にならないという観点から、通達で法定の休日を特定するように指導していることになります。


 60時間超の時間外労働の特定の話はどうなるのかということについては、中小企業では、もともとこの規定は、まだ猶予になっているので適用になっていませんので、いままでの言い方からすると、実質的には、「日曜日を法定の休日とする」というように、特定しなくても差し支えないことになります。ただ、2割5分か3割5分かの割増賃金の判別がすぐにはできないことになるわけですが、何度も言いますが、土日のうち、日曜に労働し土曜日に労働しなかった場合は、残った土曜日の休日が法定休日になりますので、日曜日は法定休日ではならないことになり、日曜日の賃金は2割5分増でいいことになります。反対に土曜日に労働し日曜日に休んだ場合は、日曜日が法定休日になりますのいで、働いた土曜日は2割5分でいいことになります。このように、休日労働した者について、一人ひとり当たっていかなければならないとはいえ、2割5分か3割5分かの区別はできなくはないところで、少なくとも10~20人程度の職場の場合は、時間外計算についてもそう支障にはならないでしょう。使用者の立場に立ち、費用の面からいえば、割増賃金の人件費は、1割減になります。

 法では法定休日の特定までは、要求していないことは先ほど確認したところですが、通達に従い、法定休日を前もって何曜日と決めなくても、法定と法定外を区別する就業規則はどう定めたらいいのでしょうか。
 ①毎週の休日のうち最後の一回の休日を法定休日とする(就業規則モデル条文 中山弁護士著 日本経団連出版p186) 又は
 ②毎週の休日のうち休日労働のない最後の日又はすべての休日を労働した場合の、最後の労働した日を法定休日とする。(同上)
と規定すればよいこととになります。


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