元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

酸素欠乏症、酸素欠乏とは?

2011-07-07 11:48:15 | 社会保険労務士
酸素欠乏症等防止規則について
 
 突然ですが、酸素の空気中の濃度は、どれくらいだと思いますか。昔、中学の理科で習ったのではと、思いの方もいらしゃるでしょう。大体酸素と窒素の割合が1:4、1/5と4/5ですから、約20%です。その他に、アルゴンや二酸化炭素等が少しずつ含まれています。
 
 この割合が、少なくなり18%未満になると「酸素欠乏」になり、そのことにより体の悪影響が出る症状のことを「酸素欠乏症」と言っています。あくまでも、これは、酸素欠乏症等防止規則の定義です。
 
 なんですか。酸素欠乏症等防止規則とは聞いたことがないという方もいらしゃるかもしれませんが、最近では、どっかのホテルで地下に入った作業員が死亡したとか、マンホールの中で作業中に倒れたとかの事故がときどき新聞で報道されます。
 宮崎県内でも、記憶に新しいところでは、五ヶ瀬町で牛舎の地下サイロの中での死亡の報道がなされました。
 
 このように、酸素がなくて倒れてしまう事故の「酸素欠乏症」を防ぐため、作業方法の確立、作業環境の整備を定めた規則がこの酸素欠乏等防止規則です。もともとの法律は、労働安全衛生法(労安法)で、それに基づく特別の名前が付いた規則です。安衛法に基づくものですから、すでに事務所衛生基準規則(事務所則)やボイラー及び圧力容器安全規則(ボイラー則)については、ご紹介してきましたが、その同じ位置にある、厚生労働省の省令です。
 
 それでは、「酸素欠乏の危険のある場所」の作業場では、その日の作業を開始する前に、酸素濃度を測定しなければならない。そして、困難な場合を除いて、酸素濃度18%以上に保つように換気しなければならない。(困難な場合は、空気呼吸器等を使用すること)さらに、作業主任者の選任や労働者への特別の教育等が規定されています。
 
 危険のある場所は、政令でどんな場所かが決められていて、主に、メタン、腐泥層等の地層に接する・通ずる井戸や、海水・流水・湧水が滞留するようなマンホール等、相当期間密閉されていたボイラー・タンク等、酸素を吸収する物質をいれてあるタンク、船倉等、腐敗・分解しやすいものや発酵するものを入れてあるタンク等など、危険性のある場所が決められています。
 土木工業系の作業だけでなく、農業の作業として、「穀類・飼料の貯蔵、果菜の熟成、種子の発芽又はきのこ類の栽培のために使用しているサイロ、むろ、倉庫、船蔵、又はピットの内部」も含まれています。
(詳しくは、労働安全衛生法施行令別表第6参照→http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47SE318.html)
 
 これらの場所では、安全衛生法ですから、労働者を雇う事業者には、酸素欠乏等防止規則に基づいた措置が義務付けられているのですが、労働者を雇わなくても、これらの場所は、危険です、命を落とすことだってありますので、注意しましょう。
 
 なお、「酸素欠乏」の場合にしぼって申し上げましたが、これに硫化水素の濃度による危険を加え
、同規則では「酸素欠乏症等」としています。


コメント
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