緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

呼吸困難感(1)がん性リンパ管症の症状緩和

2008年03月02日 | 医療

がん性リンパ管症は
気管壁内のリンパ管に、がん細胞が目詰まりし
気管が浮腫をきたした結果、呼吸困難を呈する状態です。 

以前、腸閉塞の腸管は、ちくわぶのような状態だと書きました。
このがん性リンパ管症も、気管壁がちくわぶ状態になります。
 
単純胸部X線写真で
縦隔近傍の気管支が輪切りに写っているところでは
本当にちくわぶのように見えます。

がん細胞がつまり浮腫を起こした部位への治療は
まずステロイド。
 
ということで
がん性リンパ管症もステロイドを用います。 
できるだけ抗炎症効果があるものが効果的です。 
しかしながら、
腫れを引かせれば空気の流れが確保できる最初は
ステロイドの効果もあるのですが
如何せん、気管支は細いため
そうこうしている内に
投与しても呼吸困難を緩和するのが難しくなります。

処方の一例
ベタメサゾン 4mg 2× 朝、昼
ホクナリンテープ 1枚

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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欲しいくすり (krug)
2008-03-03 00:48:26
緩和の仕事をしていると、作って欲しい薬ってたくさんありません?
(適応外の薬も早く認めて欲しいですが・・・)
例えば持続型ステロイドの貼付剤とか経口フェンタニルのレスキューとか。
メーカーさん。頑張って欲しいところです
先生は何が一番欲しいですか??
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終末期医療の指針 (itopie)
2008-03-03 18:06:46
日本医師会が先月28日、終末期医療の指針(「ふたたび終末期医療について」の報告)を公表しました。興味があったので日医のHPを見て自分の目を疑いました。報告書p6:苦痛を緩和する目的でなされる治療(疼痛コントロール等)が余命を縮めるという副作用を伴う場合がある場合(最近の緩和医療の技術の発達により、こういうケースはだんだんなくなっている)や、ある治療を開始しない・中止する方が、患者のQOLの向上・保持をもたらすが、余命を縮めるする場合がある。
部分的な記載しかできませんが、有賀先生、そして緩和ケアーに携わっている皆さんはどうお感じになりますか?
返信する
そうですね・・ (aruga)
2008-03-03 22:06:09
krugさん
ステロイドは私はあまり使用しませんが、ベタメサゾン1mgの坐薬がありますし、フェンタのレスキューは臨床試験中です。欲しい薬・・便秘のないオピオイドです!

itopieさん
いや~貴重な情報ありがとうございます。医師会のものは意識外でした。まだ、見ていませんが、p6以下にかかれているものは、間接的安楽死の要件ですね。ある治療を開始しない・中止~以下は、今の法律では殺人で起訴される可能性がある内容です。
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