緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ヒドロモルフォン 製品情報が公開されています

2017年05月07日 | 医療

呼吸困難には、
モルヒネとヒドロモルフォンが
効果を認めます。

いずれも、μオピオイド受容体作動薬で、
医療用の麻薬になります。



モルヒネは、経口内服すると
上部消化管から吸収され、
門脈から肝臓に運ばれます。
そこで、最初の代謝を7割くらいが受け、
M6G、M3G、代謝を受けない未変化体となります。

M6Gは呼吸抑制や鎮静(眠気)の原因となるものですが、
通常、腎臓から排泄されるので、問題になりません。

ところが、腎機能障害があると、
このM6Gが排泄されず、呼吸抑制などのリスクを
生じるため、
モルヒネは、腎機能障害がある患者さんには
投与ができません。

目安は、クレアチニンの上昇と共に
排泄遅延を認めるため、
クレアチニン2以上では
控えるようにしています。



今まで、ヒドロモルフォンは日本では発売されていませんでした。

ですから、モルヒネが投与できない患者さんの呼吸困難には、
オキシコドンを投与し、代替薬としていました。



こうした呼吸困難に対することだけではなく、
がん疼痛についても、
1920年代からドイツをはじめ
多くの国で使用されてきた
医療用麻薬のヒドロモルフォンを
国内でも投与できるようにと
緩和医療学会は国に対し、
医療上の必要性の高い未承認薬として
開発要望(いわゆる公知申請)を提出していました。


5年前の
第11回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議資料
○5-3 ハイドロモルフォン塩酸塩の開発について(PDF:76KB)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000254xq-att/2r9852000002556b.pdf




そして、この3月に製造販売承認されました。

http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006615.html




ヒドロモルフォン経口薬には、
徐放剤と即放剤があります。

徐放剤(ナルサス®) 2㎎、6㎎、12㎎、24㎎
1日1回投与

モルヒネ:ヒドロモルフォン=5:1

であることから、

モルヒネの徐放剤の開始量は20㎎を根拠として
ヒドロモルフォンは4㎎が開始量と設定されています。

(出典 PMDA(医薬品医療機器総合機構) 医薬品情報
ナルサス)

しかしながら、最小錠剤は、4mgではなく、
2mgであることから、
モルヒネ導入の対象となるよりも
もっと軽度な痛みに対しでも
半分の2mgの使用について、
検討可能であることが示唆されます。



即放剤(ナルラピッド®)1mg、2mg、4mg

いわゆるレスキュー薬として、
ヒドロモルフォンは錠剤の即放剤です。


副作用は、ヒドロモルフォンに特有のものはなく、
オピオイドに共通する副作用です。
その対処や予防も、
他のオピオイドを投与するときと
同じになります。






現状で公開されている情報について、
備忘を兼ねて、今日の記事としました。


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