東京都議会で、経営破綻した新銀行東京への400億円追加出資の審議が大詰めを迎えている。新銀行東京に対し東京都が400億円を追加出資する08年度一般会計補正予算案について、都議会与党の自民、公明両党は、賛成する方向だという(「毎日」3月22日11時4分配信)。議会は、直接選挙で選ばれる知事の行政に対し、監視する義務と責任がある。「空疎な小皇帝」に付き従うだけの自公の態度は都民への背信行為そのものである。
新銀行東京は04年、石原氏の2期目の選挙公約で設立されたが、最初から経営破綻が明らかであった。営利企業としての銀行という経営形態と選挙公約のコンセプトとは両立しないからである。そんなことは百も承知のはずの石原取り巻きが、「空疎な小皇帝」の言いなりとなって、 金融庁が「オーバーバンキング」といって銀行の数減らしに躍起になっていたのを横目に、2004年4月にBNPパリバ信託銀行を買収して設立したのが不幸の始まりだった。それをチェックするはずの議会がこれまた共産党を除く自公民オール与党で「空疎な小皇帝」に付き従うだけ。一番バカなのは、「空疎な小皇帝」を知事に祭り上げた選挙民ということになろうか。石原の正体を知って彼に投票しなかった都民がもっとも割を食う。1000億円に続いて400億円の税金がドブに捨てられるのだ。
石原氏は、いまになって「私は、シーザーでもアレキサンダー大王でもない」(空疎な小皇帝がシーザーやアレキサンダーということ自体おこがましいが)など御託を並べているが、 新銀行東京は、石原の「鶴のひと声」で設立が決まったようなもの。当時、銀行の貸し渋りが激しく企業の倒産が相次ぎ、「東京都の中小企業を救う!」と、石原知事が2期目の選挙公約にぶち上げたのがきっかけだった。「東京都の中小企業を救う!」という公約そのものは立派なことである。問題はこのコンセプトをどのような手順でどのように実現するかである。
新銀行は発足当初、原則無担保・無保証の中小企業向け融資を主力商品に据えた。相手先の財務諸表の分析に頼った簡易なスピード審査による融資を行い、不良債権を急増させたという。これでは、はじめから銀行経営は破綻する。そのうえ、経営陣が「とにかく高飛車で、殿様商売そのもの。(石原知事の)態度といっしょだね」といわれるようでは、 新銀行東京の倒産は必然である。
2004年度、預貸率(調達資金を融資に回す比率)84・8%でりっぱに出発した新銀行東京であったが、まもなく、中小企業向融資というコンセプトを維持できなくなる。業績を向上させようとなると、資金繰りに苦しむ中小業者には貸し渋り、融資しても10%を超える高金利を取るなどということになる。これでは、誰も借りない。2005年度には、ジリ貧で、預貸率は26・1%まで急落する(2006年、2007年38%ソコソコ)。通常の地銀の預貸率は70数%である。もはや新銀行東京は空洞化した死に体銀行である(醍醐聰「無謀無益な新銀行東京への追加出資」「しんぶん赤旗」3月25日)。
新銀行東京は2月20日に発表した再建計画で、2010年度には預金を200億円まで、融資残高を700億円まで経営縮小するという。もしそうなら、預金の3倍を超える貸出しをすることになるが、その意味するところは、今回の400億円を融資に回すということだ。もし、そうならなぜ、わざわざ新銀行東京を経由する必要があるのか。東京都は直接制度融資をすればよいのである(醍醐 同上)。
中小企業支援のために都がやるべきことは、共産党が最初から言っているように、銀行ではなく、「制度融資の拡充や特別融資」なのだ。
大塚俊郎元都副知事(現在、取締役会議長)ら都の幹部に銀行業を始めさせた石原知事は見苦しい御託を並べるのをやめ責任をとれ! 「空疎な小皇帝」にこんなことを言っても詮無いことか・・・。
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