プロメテウスの政治経済コラム

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雨天突く決意の拳 抗議県民大会  知事や自民党の不参加に憤り

2008-03-24 18:37:48 | 政治経済
「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(実行委員会主催)が23日、沖縄県北谷町内で開かれた。6千人(主催者発表)の県民らが集まり日米地位協定の抜本改定や基地の整理縮小を要求した(「しんぶん赤旗」3月24日)。
最後のガンバロー三唱では、玉寄哲永実行委員長の呼び掛けで会場中が一斉に傘を閉じた。「再発防止策」や「綱紀粛正」を米軍自ら約束しながら、その後も後を絶たない米兵の事件・事故に対する怒りと、被害者を出さないとの誓いを込め、力強く拳を突き上げた。冷たい雨が降りしきる中、「もうこれ以上、基地被害者は出さない」との参加者の熱い思いが会場を埋め尽くした(「琉球新報」3月24日)。

しかし大会には、知事や県議会議長らの姿が見えなかった。知事が参加した上で超党派の県民大会が開かれることを強く警戒していた外務、防衛両省は、知事不参加に安堵の色を隠せない。ある防衛省幹部は「県民大会の決議は重いが、県知事が出席するのとしないのではインパクトが違う」と話した(「琉球新報」同上)。
知事や自民党県連は自己の政治的思惑で沖縄県民の思いを裏切ったのだ


沖縄駐留の米兵らに県民が人権を踏みにじられた例は、枚挙にいとまがない。本土復帰後も凶悪な殺人事件をはじめ、粗暴な犯行が後を絶たない。戦闘機やヘリ墜落など大事故の検証もしかりで、今なお「治外法権」そのものの様相だ
1995年秋、沖縄本島北部で買い物帰りの女児が複数の米兵に拉致され乱暴された痛ましい事件では、くすぶり続けた県民の怒りが爆発した。日米両政府に対し、強く異議を申し立てる過去最大規模の総決起大会が開かれ、安保体制を揺さぶった。
大会あいさつ冒頭で、当時の大田昌秀知事は「行政を預かる者として、本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からおわびしたい」と謝罪。高校生代表の女生徒は「やりきれない思いで胸がいっぱい。軍隊のない、悲劇のない平和な島を返して」と訴えた。大田知事の言葉は本来、日米両政府のトップが真っ先に口にすべきことだろう。少女の尊厳も守れない政治家に国防など論じる資格はないと考えるし、国際社会に対して主権国家だと胸を張れまい(「琉球新報」同上)

あれから13年。残念ながら基地沖縄の現実は、ほとんど変わっていない。根絶されないどころか頻発する米軍犯罪に対する怒りが再び爆発した沖縄。知事は、県民の抗議行動の先頭に立つべきであった。
知事や自民党の不参加に大会主催者らも憤りを隠さない。
「『少女をそっとしておきたい』と言う最大会派(自民党)は、ではなぜ県議会で抗議決議したのか。矛盾している」。「知事は何をしているのか」「知事は(今秋、)日米地位協定の抜本改定を求めて訪米するにも(大会決議を受けずに)手ぶらで行くのか」(「琉球新報」同上)。

知事らの不参加は「沖縄は一枚岩ではない」ととられ、日米両政府から見くびられる恐れがある。今後、知事が訪米して基地問題を訴えても説得力を欠くことになりかねない。ただ、日米両政府も今回の大会を見くびると、民意を見誤ることになる。基地の重圧は尋常ではない。県民の怒りは沸点に達しており、負担軽減の約束が裏切られたとの思いが充満している(「琉球新報」同上)。

米兵犯罪から国民を守るためには日米安保条約の廃棄、米軍基地の撤去しかない。「軍事同盟もない、基地もない独立・平和の日本」―これこそが沖縄県民の民意であり、歴史の発展方向なのだ 。

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