プロメテウスの政治経済コラム

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福田内閣半年   なぜ立ち往生?  大往生が近い?

2008-03-26 18:47:18 | 政治経済
参院選挙での惨敗のあと、進退きわまって政権を投げ出した安倍首相のあとを受け福田康夫氏が政権を発足させて、26日で半年になる。福田内閣の到達点は、各種世論調査の支持率続落が示すように「立ち往生内閣」と言えるだろう。現在の立ち往生がやがて大往生に向かうとわかってきたためか、今では政府・与党の「現実逃避」のようなチグハグな対応が目立つ。与党内からも「終わりだ」との批判が噴き出し始めており、福田内閣は危篤状態に追い込まれている(二宮厚美・神戸大教授「自公路線の立ち往生」「しんぶん赤旗」3月26日)。

なぜ立ち往生となったのか。
福田首相の指導力や実行力が乏しいというだけではない。首相が実行しようとしている政策の中身そのものが参院選で批判を受けたことをなんら反省するものになっていないからだ。
内閣の基本路線を、格差・貧困を拡大した小泉・安倍政権の「構造改革」の踏襲に置いてきた。予算案も、「構造改革」をすすめる基本方針である2006年の「骨太の方針」に沿ったものであり、日銀総裁人事で財務次官として社会保障の削減路線のレールを敷いた武藤敏郎・日銀副総裁に固執したところにもそれが、表れている。後期高齢者医療制度も実施する姿勢に変わりはない。これらは、すでに参議院選挙で審判のくだった路線で、野党が参議院で結束して反対にまわる限り、行き詰まらざるをえないものだ(二宮 同上)。
与野党対決が予想されても、なぜ、反対するのか「わかりませんね」というような惚けたじいさんでは、立ち往生は自明である。

そこへさらに、自民党の伝統的な支持基盤がいっそう崩れてきた事情を反映し、道路特定財源に固執した古い利益誘導政治で求心力を保とうとする。
新旧の自公政治を復活・踏襲するのでは、行き詰まらざるをえないのは当然だ。
インド洋に海上自衛隊を再派兵する新テロ特措法が参院で否決されると衆院で再議決を強行する。「日米同盟絶対」の姿勢も変わらない。福田内閣は、自ら墓穴を掘るようなことをやってきたのだ(二宮 同上)。

昨年の参院選で自公勢力が大敗し、安倍政権が崩壊しても、これまでの政治の基本路線を一歩も出ようとしない福田政権のやり方――安倍政権崩壊後、福田内閣は自公体制維持の期待を担って登場したが、この半年で安倍政権崩壊前夜の状況に戻してしまったと言ってよいだろう(二宮 同上)。
この行き詰まりを打開する道は、解散・総選挙で自公政治を大往生させるほかない。

行き詰まった自公政治を変えるためには、アメリカ・財界いいなりの政治の基本路線を転換することが不可避である。見過ごせないのは、福田・自公政権がこの転換を拒否するばかりか、改憲と消費税増税を押し通すことをねらって、民主党との「大連立」を画策し、「政界再編」の動きに期待をかけるなど、行き詰まりを反動的に打開することを狙っていることである。
私たちは、自民党や民主党を民意で縛らなければならない。民主党にとっても下手な妥協をすれば、国民の支持を失うのだということをしっかりと知らしめなければならないのだ。

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