プロメテウスの政治経済コラム

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公明、子ども手当法案に賛成  民主党権力擦寄りは予定の行動

2010-03-17 20:06:11 | 政治経済
子ども手当法案と高校無償化法案が16日の衆院本会議で採決され、いずれも与党と公明党、共産党の賛成多数で可決、参院へ送付された。自民党とみんなの党は反対した。
共産党は、今回の法案が、2010年度に限って中学生まで「子ども手当」半額の支給をするものであり、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の上乗せの廃止を財源としているが、手当を受給しない一般世帯への負担増はもりこまれていないことから、子どもを社会で育てるという理念や、先進諸国に比べ極端に少ない子ども・家族関係支出を増やすべきという認識それ自体を評価して、その限りで賛成をした。
公明党は、先の総選挙で自民党とともに下野することになったが、この党は、いまや、創価学会員に御利益を与えたと言えるものがない限り、存続できない政党である。さらに、「池田先生」を守るためには、一日も早い政権与党返り咲が必要である。自民党の近い将来の政権返り咲きが予想しにくい以上、民主党権力への擦寄りはこの党にとって予定の行動である。

 今朝の「しんぶん赤旗」の「朝の風」は、公明党の最近の動きを“イソップ物語の教訓”と題して皮肉っている(「しんぶん赤旗」2010年3月17日)。
<イソップ物語に「こうもり」の話がある。ある時、鳥たちと獣たちが二つに分かれて戦争した。こうもりは獣の方が勝ちそうだと「ぼくは獣だよ」と獣の味方に、鳥が勢いを盛り返すと「むろん、ぼくは鳥さ」と鳥の方につく>

公明党は今年1月8日の中央幹事会で、2003年の衆議院解散と同時に政界を引退し、2005年以降は目立った党活動もしていなかった市川雄一元書記長の常任顧問登用を決めた。市川氏の役職復帰について井上義久公明党幹事長は表向き、「参院選勝利に向け、OBへの働きかけや党再建にアドバイスを頂きたい。(小沢氏との関係は)全く考えていない」と説明しているが、小沢民主党幹事長との関係構築を進める上で党が小沢氏と市川氏の過去の密接な関係(二人の関係は、細川政権や旧新進党時代には「一・一ライン」などと呼ばれた)に期待し、民主党への擦寄り対策を始めたものと考えるのが自然である。

 早速、 2月26日夜、民主党の小沢一郎幹事長が創価学会の秋谷栄之助・最高指導会議議長と都内のホテルで会談していたことが3月1日、明らかになった。民主党の輿石東・参院議員会長も同席していた。夏の参院選や選挙後もにらみ、民主、公明両党の連携について意見交換したものと見られる(「朝日」2010年3月2日)。
創価学会が政界を制覇して国立戒壇を建立するというかつての夢が非現実的となったいま、公明党の原理原則は、「池田教」の池田先生をお守りするために政権与党の位置を確保すること、創価学会員に御利益を与えたと言えることによって選挙で勝つことである。そのためには、正論をはく共産党は、邪宗として命を懸けてたたかう敵である。
公明党には、自民党とともに、社会保障費の自然増から毎年2200億円を削減し、社会保障をぼろぼろにしてきたことや、「成長戦略」と称して、労働法制の規制緩和を進めて「使い捨て」労働を増やしてきたことなどの悪政について、共同責任があると思うのだが、党存続のための必然的結果として、10年に及ぶ自公政権の総括などどこ吹く風で民主党へ急接近しているのだ。

 公明党はいつも、最終的に政府予算案に反対する共産党について、「予算に反対することは、結局、何もしていないのと同じ」「予算に反対したから実績がない」と攻撃を繰り返していたが、野党となった今国会では、自身が政府の2010年度予算案に反対した。
<「実績がない」という他党への根拠のない批判は、いま公明党自身に跳ね返ってきているのです。>と「しんぶん赤旗」(3月3日)で痛いところを衝かれ、さぞ地団駄を踏んで悔しがっていることだろう(実際、予算組み替えも提案せず、密室で予算案の審議打ち切りや採決の日程を決めただけなのだが)。なにがなんでも、野党にはなるまいと誓いを新たにしたことは想像に難くない。

ところで、イソップ物語には、後日談がある。強いものに擦寄るコウモリは、最後にはどちらからも仲間はずれにされる。子どもたちへの教訓は、「自分だけがいい子になって、うまい目をみると、しまいには、だれにも見捨てられる」ということだ。

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