鳩山政権発足から16日で半年。70%台でスタートした内閣支持率は、時事通信社が5~8日に実施した3月の世論調査によると、30.9%まで下落し、政権運営の「危険水域」とされる20%台目前となった(「時事通信」2010/03/12-17:09)。戦後最大の議席占有率を獲得した民主党であるが、小選挙区制効果によるところが大きく、もともと多くの有権者が民主党の政策を支持したというよりも、自公政権に対する失望が民主党への一票につながったという側面が大きかった。したがって、歴史的な「政権交代」といわれながら、「政権交代」に伴う陶酔感(ユーフォリア)は、大手マスコミと当の民主党自身以外はあまり見られなかった。ユーフォリアの伴わない政権交代は、息切れも早い。
「『政権交代したのに、民主党らしさが見えてこない。前と変わらないじゃないか』という思いが国民に広がっている」。鳩山首相は8日、記者団に支持率急落の要因をこう分析してみせた。日本共産党の市田忠義書記局長は15日、国会内で記者会見し、発足から半年を迎える鳩山内閣について、「先の総選挙で多くの国民が新しい政治を願って自公政権に審判を下したのに、(鳩山政権は)全体として、選挙での公約を裏切り、肝心要の問題で混迷と迷走が続いた半年間ではなかったか」と指摘した(「しんぶん赤旗」2010年3月16日)。
公約のなかには積極的に支持されていないものあるが、鳩山政権の公約はどうなったか。
「しんぶん赤旗」2010年3月16日付より
米軍普天間基地の問題では、鳩山内閣の公約は、少なくとも「県外・国外」移設だったのに、現在のところは、県内たらい回しを押し付ける方向に動きつつある。
核持ち込み密約問題では、「アメリカにいって事実を調査し、しかるべきタイミングで説明する」「(オバマ米大統領に核を持ち込ませないと)OKさせるまで頑張る」といっていたのに、「報告書」が出ても、米側にはなにも言わないと従来どおりのうやむやを続けるという腰砕けである。
後期高齢者医療制度も、廃止の先送りだけではなく、新しい制度として検討されているのは、なんと「姥捨て山」年齢を65歳に引き下げるというひどいものである。
労働者派遣法についても、政府の改定案は“抜け穴”だらけのうえに、実施を3年から5年先送りするもので、逆に事前面接の解禁など自公案にあった規制緩和を持ち込む始末である(事前面接するくらいなら自分で雇えよ!)。
党として目指すべき「綱領」なし、基本政策なし、そして政策論議の場もないという政党としての根本的弱点をもつ民主党政権は、もともと財界・アメリカの圧力に弱いうえに、鳩山首相の指導力欠如、指導幹部の「政治とカネ」問題も抱え、急速に国民の間に幻滅が広がった。 支配階級の圧力に抗して国民の利益を実現しようとすれば、党の団結とそれを支える国民の支持が必須であるが、鳩山政権には、それがない。政権が脆弱なのは、ある意味当然である。
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