プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「身を削る」という自公民  新たな日本共産党封じ込めの策動

2009-02-01 21:36:29 | 政治経済

「国会議員自ら身を削るべきだ」として、国会議員の定数を削減しようという流れが自民、公明、民主の各党で強まっている。 表向きの狙いは、国民の負担増に対する怒りの懐柔、今後の消費税増税のための地ならしである。しかし、その真の狙いは、“日本共産党封じ込め”の新たな策動である。日米支配勢力が、最近の日本共産党人気を黙って見過ごすはずがないからだ

「増税するには、(国会議員が)まず身を削る姿勢を見せるべきだ」(伊吹文明前財務相)、「国民は厳しい経済状況に置かれている。まず政治家、官僚が、わが身を切る改革を断行すべきだ」(公明党・太田昭宏代表)、「議員定数の削減はもう既に民主党が具体的に提案している」(民主党・鳩山由紀夫幹事長)と議員定数や選挙制度の見直しを競い合っている。
表向きの狙いは、国会議員の定数削減を、税金のムダ遣いや官僚の天下りと一緒くたにして、国民の怒りを懐柔し、消費税増税へのステップとするものである。しかし、日本の国会議員の数は、他の先進国と比べても決して多くない(日本より少ないのは米国だけ)。彼らの真の狙いは、議員定数削減の標的が、比例区の廃止や衆参二院制の廃止に向けられていることからも明らかだ。日本共産党に集約される民意の切捨て、排除を狙っているのだ。
議員定数や選挙制度の見直しは、国民の多様な民意を議会にどう正確に反映させるかという観点から議論されるべきものだろう。

小泉以降の自公政権が国民の政権交代要求にもかかわらず、安倍―福田―麻生と悪政を続けることができているのも、民意を反映しない選挙制度のおかげである。「小泉劇場」といわれた05年9月の総選挙で、自民党は得票率47・8%で議席獲得率73%(小選挙区部分)を得て“圧勝”した。この“虚構”の多数を使って自公政権が進めたのはなんだったのか―。後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、改憲手続き法、教育基本法改悪などの強行。自衛隊海外派兵法案などの悪法が参院で否決された場合の「衆院三分の二」の再可決の横暴ではなかったか!05年9月の総選挙の比例代表の得票率で各党議席数をはじき出すと、自民党は獲得296議席のうち113議席が“過剰当選”となり、他方、民主党は36議席、公明党は33議席、日本共産党は26議席、社民党は19議席の“過小当選”であった。現在9議席の共産党は、35議席ということになる

戦後のGHQによる共産党弾圧と「50年問題」以後、支配勢力は70年代にいたるまで、共産党は片づいたと思っていた。ところが、69年12月の総選挙を転機に、これまでの常識が根本からくつがえり、70年代前半には、共産党は選挙ごとに議席をのばして、国会も地方政治も様相が一変するにいたった。社会党が「革新」の主流であった時代は、この党が3分の1を超える議席を占めても支配勢力はなんら怖くなかった。ところが日本共産党の進出となるとそうはいかない。日本における自分たちの支配が危なくなると感じたのだこうして、“共産党封じ込め”の戦略をねり、70代後半に反動攻勢が一気に噴き出した「自由社会を守ろう」のスローガンの下、日本共産党を「暴力と独裁」の党だとする反共キャンペーンが自民党、民社党、公明党総動員で大々的に展開された。「共産党は、国民からすべての自由を奪う一党独裁の政治をねらっている」「共産党政権になったら、国民の土地や財産が没収される」という脅かしが彼らの基本戦略であった。
さらに手のこんだ攻撃が民社党春日(一幸)委員長質問であった。治安維持法下の特高警察の弾圧をそのまま蒸し返して、テレビで全国中継されている国会の壇上から、宮本委員長を「殺人者」呼ばわりして、「暴力と独裁」を国民に印象付けようと試みた。マスコミもこれに呼応した。立花隆の『文芸春秋』での「日本共産党の研究」の長期連載であった。

反共工作の仕上げは、80年の「社公合意」による共産党の排除―共産党をのぞく「オール与党」体制であった。地方政治にいまも残る「オール与党」体制はこうしてつくられた。
90年代に入ると中国やソ連・東欧の諸事件が最大限に利用された。それでも共産党と国民の結びつきを断ち切れなくなった支配勢力がめざしたのは、小選挙区制による「二大保守政党制」である。その先鞭をつけたのが、自民党幹事長の小沢一郎であった。93年6月、自民党を割って出て「新生党」を結成した。この自民党の主力部隊の一部に共産党を除く野党が合流し8月、細川・「非自民」6党連立内閣が発足した。このときのマスコミの異常な応援振りも忘れられない。
このまま、細川・「非自民」政権が政治をにぎり続けていたら、支配勢力が描いた筋書き通り、「自民党」と「非自民」勢力による「二大政党」制が本格的に形づくられ、日本共産党を国政の舞台から一歩一歩閉め出すことに成功していたかもしれない
支配勢力は、「非自民」政権の樹立と選挙制度改悪に成功したが、「非自民」連合の側に、連合を持続させるだけの力がなく、自民党の「非自民」切り崩し作戦もあって、その後、紆余曲折を経て現在に至っている。

「蟹工船」ブーム以来の日本共産党の国会内外での活躍に支配勢力が危機感をもって不思議はない。最近、ロスジェネレーションの旗手、雨宮処凛さんは「希望は運動」といっている。その運動の中核が日本共産党であることが、いま少しずつ民意となりつつある。この民意を国会から閉め出すもっとも手っ取り早く、確実な道は選挙制度の改悪である。私たちは、これ以上、日本を民意の届かないアメリアの二大政党制にすることだけは、なんとしても避けなければならない


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