プロメテウスの政治経済コラム

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住民税 6月 増税 国も地方も“火消し”に躍起  二重、三重にごまかす増税のウソ

2007-05-28 18:14:23 | 政治経済
税源移譲(約3兆円)だけでは、たしかに、所得税と住民税をあわせた負担額は基本的に変わらない。しかし、自民党、公明党が決めた定率減税の廃止の残り半分(所得税1月、住民税6月)による一兆七千億円の増税が国民を襲うことに変わりはない。住民税は、税源移譲分3兆円と定率減税の廃止残り分0・4兆円と合わせて3・4兆円の増税となる。いくら「変わらない」と宣伝しても、増税の事実を消すことはできない「変わらない」というのが第一のウソである。税源移譲の影響も含めると、多くの人の住民税は約二倍にはね上がる。さらに高齢者には年金課税の強化も加わるため、住民税が四倍近くになる場合も予想される(「しんぶん赤旗」5月25日)。

定率減税は「景気対策」の一環として、99年に、大企業減税(法人税率引き下げ)、大金持ち減税(所得税の最高税率引き下げ)とともに導入された。ところが、自民・公明政権は、史上空前のもうけをあげる大企業への減税はそのままにし、低迷する家計にだけ定率減税全廃による増税を押し付けた。「経済状況が改善していることから、縮小・廃止」というなら、法人税率、所得税の最高税率の方を元に戻すのが筋である「経済状況が改善している」といって定率減税だけを廃止したのが、第二のウソである。

困った公明党は、「基礎年金国庫負担の2分の1への引き上げの財源として定率減税の廃止や年金課税の見直し」を行うという第三のウソをデッチあげる。実は、定率減税廃止への「道筋」を開いたのは公明党だった。みずから最近の公明新聞に「公明党は所得税の定率減税の廃止や年金課税の見直しなどによる財源案を示し、(基礎年金国庫負担の)2分の1への引き上げの道筋を示しました」と書いている(「しんぶん赤旗」同上)。
この第三のウソは、罪が深い。先に書いたように公明党は03年総選挙の「マニフェスト」で、年金国庫負担を二分の一に引き上げる「主たる財源は、所得税の定率減税及び年金課税の見直しにより確保します」と公約した。ところが、財務省によると、定率減税の全廃で生まれる財源三・三兆円のうち、曲がりなりにも予算書で国庫負担引き上げに使うと明示した金額は二千二百億円にすぎない。今回増税の一・七兆円は本当に年金の国庫負担を二分の一に引き上げるのに充当されるのか。今年度の税制「改正」である減価償却制度の見直し、証券優遇税制の延長による減税額は一・七兆円である。今回の増税一・七兆円が、この大企業・大資産家向けの減税にそっくり吸い込まれてしまう計算だ(「しんぶん赤旗」同上)。

年金国庫負担を二分の一へ引き上げるための財源は、いまだに必要額の二割弱しか手当てできていいない。尾身幸次財務相はなんと言っているか。残り八割の二・五兆円分の財源としては「消費税を含む税体系の抜本的改革」が必要だと主張している。参院選挙後の庶民増税の行き先には間違いなく消費税の増税が控えている(「しんぶん赤旗」同上)そして、社会保障財源のための消費税増税という第四の大ウソが始まる。
1989年の消費税の導入から国民が納めた消費税額は2007年度(予算ベース)までで、約188兆円に達する。一方、同じ時期に法人三税(法人税、法人事業税、法人住民税)の税収減の累計は、約164兆円。景気変動の影響もあるが、消費税の約9割は、法人税の減税に消えたのだ。これでは社会保障に廻しようもない。それどころか社会保障制度は、削減、改悪の連続である。
いままた御手洗経団連は、執拗に法人実効税率の引き下げを求めている。消費税増税が財界の利権に化ける仕掛けであり、徹底的に国民を欺き、踏みつけにするやり方だ。

日本共産党が呼びかけている「六月からの住民税増税の中止を求める署名」に反響が広がっているという。庶民増税への怒りを参院選にぶつけなければならない。参院選はまさに文字通り「税民投票」である。

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