プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄新基地調査 海自艦派遣は「国の資源の有効活用」 安倍首相の超法規的発言を許すな!

2007-05-27 18:48:00 | 政治経済
自衛隊の出動には自衛隊法上の根拠が必要であるが、24日の衆院安全保障委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員の追及に、防衛省はその法的根拠について説明不能に陥った今回の治安出動には、法的根拠がなかったのだ。
赤嶺氏の追及に防衛省の山崎信之郎運用企画局長は「(自衛隊法には)明示的な規定はない」と答弁。防衛省が苦し紛れに持ち出したのが、国家行政組織法に基づく「官庁間協力」である。防衛省は「官庁間協力」の要件として、(1)事務の公共性(2)手段等の非代替性(3)緊急性―の三点を挙げている。しかし、米軍に新たな出撃拠点を用意する基地建設に、「公共性」がないことはあきらかだ。では、「非代替性」や「緊急性」にもとづき、“自衛隊が出動しない限り、調査ができない”と現地が要請したのか。北原巌男防衛施設庁長官は「施設庁長官として(私が)要請した」と述べ、なかったことを認めた。また海上保安庁の石橋幹夫警備救難部長は「海上警備については当庁が一義的に担う」「万一に備え救助態勢を整えていた」と述べ、海保で対応可能だったことを明らかにした自衛隊法にも防衛省設置法にも国家行政組織法にも根拠なく、超法規的に自衛隊を動かしたのだ(「しんぶん赤旗」5月25日)。

久間章生防衛相は、「ぶんご」を動員して調査を強行した18日、自衛隊による警備行動(海上警備行動)について「海上の治安状況がよっぽど悪化した場合には法律上、できないことはない」と述べ、実力行使まで示唆した。しかし赤嶺議員が、地元住民の抗議活動で犯罪行為が確認されたのかとただしたのに対し、海上保安庁の石橋幹夫警備救難部長は「違反行為に伴う逮捕者は出ていない」と答弁。浮かび上がるのは、「非暴力の抗議活動」(赤嶺氏)を、力で押しつぶそうとしたということである(「しんぶん赤旗」5月19日)。
沖縄の米軍基地は、占領下に“銃剣とブルドーザー”によって県民から土地をとりあげ、建設された歴史を持っている。地元紙の琉球新報18日付社説は、「(沖縄戦から)六十二年、国民を守るはずの自衛隊は、米軍の新基地建設に反対する国民を威圧するために『軍艦』を沖縄に派遣するのか」と書いた。19日付沖縄タイムス社説も「『牙』むき海奪う行為だ」と糾弾した。新基地建設に原則合意している仲井真弘多知事でさえ、「(掃海母艦出動は)銃剣を突きつけているような連想をさせ、強烈な誤解を生む」と批判した(「しんぶん赤旗」同上)。

仲井真弘多沖縄知事が「銃剣を突きつけるような連想をさせる」と批判していることを挙げて、政府の姿勢をただした緒方議員に対し、安倍首相が「海上自衛隊の潜水能力等を活用したもので、国の資源を有効活用した」などと平然と語ったことは、もはや法治国家の首相ではない。自衛隊の最高司令官が、「国の資源の有効活用」として、超法規的に軍事力を動かす―自衛隊がどこへでも出動する―こんな危険極まりないことが法治国家で許されないことは当然だ。安倍はあたかも天皇の統帥権でも持った気分でおるのではないか

国家は、法を破るものに対し制裁を加える物理的装置―軍隊、警察、監獄、裁判所など―を独占している。物理的力をもった国家が好き勝手に国家権力を行使したらどうなるか恣意的な国家権力の行使を抑えるために、国家の上に法があって、国家は厳格に法にもとづき、法に従ってのみ行動しなければならない―これが、「法の支配」、「法治主義」といわれるものだ。
軍事力を動かすのに、法的根拠も示せないというのは、もはや法治国家ではない。安倍の軍事・強権国家づくりが法治国家を逸脱するところまで進んでいることを私たちは、絶対に見逃してはならない

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