プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

松岡農水相が自殺  「闘う政治家」安倍氏ほどあつかましくはなかった・・・

2007-05-29 19:23:05 | 政治経済
自殺の詳しい原因などは明らかにされていないが、誰もが考えるように、事務所費問題や官製談合事件など「政治とカネ」の問題で行き詰まっていたのだろう。東京地検幹部は、「(松岡農水相本人の)捜査はしていない」「捜査の予定もなかった」と語っているが(「しんぶん赤旗」5月29日)、東京地検特捜部による独立行政法人緑資源機構の林道工事をめぐる官製談合事件と、松岡農水相周辺の捜査が着々と進んでいたことはたしかである。松岡氏が安倍氏の「闘う政治家」を続けることに耐えられなくなったと考えるのが自然であろう。

若さと毛並みの良さを売り物にした安倍氏は、“靖国派”仲間に支えられながら、新自由主義構造改革派にも親近感を示すことで圧倒的多数の支持で総裁選に勝利した。しかし、彼の本質は、その思想性においても政治とカネという政治手法の基本においても若さ、「清新さ」とはまったく無縁の旧い自民党のなかでももっとも旧い自民党である。松岡氏は、家賃や電気・水道代が一円もかからない議員会館の自室に政治団体の「主たる事務所」を置きながら、数千万円単位の事務所費や光熱水費を政治資金収支報告に届け出ていた。勘定科目の仮装・虚偽報告は明らかであった。しかし、安倍首相も本人も「法律に定められた通り処理している」などと繰り返すばかりであった。林野行政に深く絡む緑資源機構の官製談合事件に関しては、同機構から仕事を受注していた企業や公益法人などから多額の政治献金を受けていた。国会での追及に対し、所管大臣として「おわび」は表明しつつも、献金については「個人的な形で頂いたものはすでに返した」と言い、ここでも安倍、松岡両氏は、不明朗な関係はなかったと言い逃れていた。「闘う政治家」安倍氏がやろうとしたことは、松岡氏をあくまで辞めさせないで、政治資金規正法のザル法的改定と新人材バンクという天下り公認の公務員改革法であった。

階級社会では、支配階級は政治献金で政治家を雇う。政治家はその金で当選可能な組織づくりをする。ところが支配階級のための政治は、労働者階級や勤労市民の利害としばしば対立する。自民党の政治家は自民党というフランチャイズのもとで派閥・個人単位でカネの力と利益誘導型政治を駆使しながら支持者組織、団体をつくり多数を獲得してきた。また党内・派閥内で有力な地位を得るためには政治献金の集金力は欠かせない。ところが近年は、新自由主義構造改革の進展とともに利益誘導型政治の余地がだんだんと狭まってきた。個人・派閥営業が主体の自民党政治家は、自己の政治資金収支の透明化を「営業の秘密」としてますます拒否せざるをえない。政策ではなくカネで国民の支持を集めている政治家は、多かれ少なかれ人に言えないようなカネの使い方をしているものだ。

政治資金にたいする規制は、金の「入り」も「出」も透明性を高め、国民の監視と批判の中で、政治がカネとどう結びついているかを明らかにすることである。共産党以外の政党は政党助成金という公金を政治資金の一部として受け取っている公金の使途に関しては、公正妥当な経理基準に基づき収支報告し、国民の監査に供するのは、当然の義務である。
松岡農水相は、「闘う政治家」として「鉄面皮」を貫いている安倍首相に付き合いきれずに自殺してしまった安倍首相には、疑惑の徹底究明と任命権者としての責任という重い課題が残った
国民の圧倒的な批判を無視して強行することが「闘う政治家」だというのであれば、国民は7月の参議院選挙でしかるべき回答を下さなければならい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。