プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

どうみる小泉首相の在任期間 歴代3位

2006-04-07 18:34:48 | 政治経済
小泉首相の在任日数が4月6日で1807日となりました。佐藤栄作、吉田茂の両内閣に次ぐ、戦後歴代三位の長期政権です。26日には発足から丸5年を迎えます。しかし、貧困と社会的格差の広がり、米軍基地の強化・恒久化のおしつけ、アジア外交の深刻なゆきづまりなど、小泉政治5年の結果は国民にとっては惨憺たるものです。なぜこのような悪政が5年もの長い間、高い支持率で続いたのかマスメディアの役割も含めて深く分析しなければなりません。まず小泉5年の実績からはじめよう。

小泉政権5年で成立した主な悪法はつぎのとおりです(「しんぶん赤旗」06.4.6より)
 【2001年】
 米国のアフガン戦争支援のため、自衛隊をインド洋に派兵したテロ特措法
 【2002年】
 健保サラリーマン本人の3割負担導入、老人医療費負担増などの医療改悪法
 母子家庭の児童扶養手当削減の法改悪
 【2003年】
 派遣労働を拡大した労働法制改悪
 武力攻撃事態法など有事関連3法
 戦後はじめて戦闘地域に地上部隊を派兵することになったイラク特措法
 年金給付を物価スライドで削減する法改悪
 【2004年】
 保険料引き上げと給付切り下げの年金法改悪
 米軍支援法など有事関連7法
 【2005年】
 サラリーマン世帯を直撃する定率減税縮減
 国民向けサービスを切り捨てる郵政民営化法
 施設利用者の居住費・食費を全額自己負担にする介護保険法改悪
 障害者の福祉サービスに1割負担を導入する「自立支援」法

障害者やお年寄りの生きる権利まで脅かしながら、小泉政権は五年間で「国の借金」(国債、借入金、政府短期証券の残高合計)を未曾有の水準にまで膨らませました。年度末には848兆円と地方分をあわせると千兆円の大台を突破しました。このうち国債だけの残高は政権誕生時368兆円でしたから年度末の538兆円に170兆円も借金を増やしました。米軍支援の軍事費支出や大型公共工事を続けながら、銀行の不良債権処理や不振大企業の救済に惜しげもなく国債を発行してきたからです。
同時に、世界でも例のない異常な超低金利政策により、1991年~2004年の13年間に家計から304兆円(小泉政権だけでも約150兆円)もの資金を吸い上げました。小泉「改革」とは、国の借金と家計の収奪によって銀行と利益率低下に悩む企業を助け、米軍とアメリカ経済を支えることだったのです。

なぜこんなデタラメな政権が5年も続いたのでしょうか。
小泉「劇場型粉飾政治」とそれを追認する国民の意識は別途解明するとしてここでは、野党第一党の民主党の責任をあげておこう。民主党は小泉改革の問題点を追及するのではなく、小泉首相と国民いじめの「改革」を競い合いました。あげくに「偽メール事件」で肝心なときに自滅してしまいました。国民生活に重大な影響を与える医療改悪法案が審議入りした6日の衆院本会議では、小沢一郎、菅直人、鳩山由紀夫氏ら民主党幹部は途中退席してしまいました。自民党の方も一時間もたつとベテラン議員の座る議場後方の席はガラガラ。そして国会の外では、民主党代表選の報道一色です。テレビも朝からワイドショー、新聞も特集、社説で取り上げる念の入れようです。

国民が確かな野党を求め、共同の声を上げない限り、財界とアメリカにとって都合のいい政治が続くでしょう。うまくそれに乗れた一部の金持ち家族に対し貧困家族の悲惨さがますます際立つことになるでしょう。



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