プロメテウスの政治経済コラム

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「戦後最長の景気拡大」とは何だったのか 小泉-竹中の罪は重い 09国民春闘の前進を!

2009-01-30 18:58:26 | 政治経済

内閣府は29日、「景気動向指数研究会」(座長・吉川洋東大大学院教授)を開き、現在の景気後退が始まったのは2007年11月からで、02年2月から続いた「戦後最長の景気拡大」は07年10月を「山」に終わったと判定した。2002年2月から始まったとされる今回の「景気拡大局面」は5年9カ月継続したことになる。しかし、輸出産業を中心とした企業業績の伸びが賃金に反映されず、庶民には実感のないまま景気拡大は終わり、現在は景気悪化が急速に進んでいる。今回の「景気拡大局面」の特徴は、大企業は史上空前のもうけをあげ、米国投資ファンドを先頭にウファウファを享受したものの、日本の庶民は、貧困と格差の拡大に苦しんだ。小泉-竹中の「構造改革」のせいである。彼らの罪はまことに重い。

これまでの景気「拡大局面」では、「いざなぎ景気」(196511月―707月・49カ月継続)、「バブル景気」(8612月―912月・43カ月継続)ともに、大企業がもうけを増やすのに応じて、従業員の給与も増えた。しかし今回の「景気拡大局面」では、大企業(資本金10億円以上)は経常利益をバブル期の2倍近くに増やしたのに、従業員給与はむしろ減らしている。その一方で、株主への配当金は3倍近くにまで増やし、大企業が社内にためこんだ内部留保は230兆円にまでふくれあがった。

自民党政権のもと、日本では大企業中心主義は高度成長期も90年代の停滞期も小泉-竹中期も終始一貫している。しかし日本型経営が維持されていた90年ごろまでは、企業利益の伸びに対し、労働者所得の伸びは小さいがそれなりに増加した。これが、大企業に包摂されない人びとに対する自民党の利益誘導型ケインズ主義と相俟って、日本の高度成長を支えたのである。 

「しんぶん赤旗」2009年1月30日より


上図の「いざなぎ景気」を見れば明らかのように、グループによる株式相互持合いに支えられた日本の経営者は、株主の利害にとらわれることなく、企業の長期的成長を目指すことができた。株主配当よりも従業員給与を増やした。

株主より従業員を大事にするとは何事か。アメリカ仕込みの竹中平蔵にとっては、とても我慢できることではなかった。こうして、アメリカ的新自由主義「構造改革」が小泉―竹中によって推し進められた。日本的経営をぶち壊し多国籍大企業がさかえて、アメリカ投資ファンドがこの世の春を謳歌する。これが竹中の狙いであった。
大企業が儲かっても労働者の所得が増えない仕組みは、低賃金非正規雇用を大幅に導入することで実現された

現在、従業員や下請け企業などに犠牲をしわ寄せすることで、大もうけをあげてきた大企業が、米国発の金融危機を契機にした景気悪化に直面するや、こんどは「減収見通し」を口実に、「非正規社員切り」などの大リストラを競いあっている。フランスでは29日全国で、“雇用・賃金守れ”の労働者の大統一行動があった。
財界・大企業とアメリカという、自民党政治の「司令塔」が破たんしたもとでたたかわれる09国民春闘を、日本の労働組合運動の前進と、政治、経済社会の歴史的転換のはじまりにしようではないか。

 


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