プロメテウスの政治経済コラム

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安倍改造内閣の末期的症状  次から次へと政治資金報告書「記載ミス」訂正 

2007-09-05 18:36:22 | 政治経済
高村正彦防衛相は4日、自らが支部長を務める自民党山口県第1選挙区支部が平成17年、高村氏個人に対して支出した計900万円について、政治資金収支報告書の費目を「寄付」から「活動費」に訂正したと発表した。高村氏は、事務処理手続きに手違いがあったと説明している。
本来、政治家個人への寄付は、原則として、政治資金規正法21条の2①で禁止されている(「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」)。高村氏が、当初「寄付」としていたのは、同法21条の2②で「政党がする寄附については、適用しない」としているのを使ったものと思われる。しかし、ここでいう「政党」とは、本来、政党本部のことであり、あまり、この条項を政党支部に使う人はいない。高村氏は、あわをくって「組織活動費」に訂正したが、どこへ消えたかわからなくするための便法でないか。使途を隠すための脱法的なやり方だ(阪口徳雄弁護士―「しんぶん赤旗」9月5日)。
山口県選挙管理委員会に提出された自民党山口県第1選挙区支部の05年収支報告書によると、企業・団体献金が約二千十二万円、自民党本部からの交付金が二千六百万円、「ガンバレ自民党新春の集い」という事業収入が約八百三十七万円など約六千万円の収入が計上されている。国民の税金である政党助成金が党本部から同支部に二千六百万円も流れており、明らかな税金環流である。使途を隠すための脱法的なやり方で「事務的なミス」といわれてそれですますわけにはいかないのだ(「しんぶん赤旗」同上)。
高村氏にはほかにも、家賃のかからない議員会館を「主たる事務所」の所在地としながら、三年間で約三千万円を領収書のいらない事務所費として計上している疑惑もある。議員会館のほかに家賃がかかる事務所を保有しているかについて、「事務所は議員会館以外にもあるが、現段階で個々の家賃は答えられない」として説明を拒否している(「しんぶん赤旗」8月30日)。

鴨下一郎環境相の資金管理団体が8年間にわたり、政治資金収支報告書に1000万円と記載し続けてきた借入金が、借入時の収支報告書では200万円しか記載されていなかったことが、読売新聞の調べで分かった。差額の800万円について、鴨下氏の事務所は「借入金額を裏付ける書類が残っておらず、分からない」としており、明確に説明できていない(「読売」9月5日3時3分配信)。
政治資金規正法では、政治資金の透明性を確保し、政治活動の公正さを検証できるようにするため、政治団体の収入や支出だけでなく、所有不動産や負債など資産の記載を義務付けている。借入金は、借りた年に収支報告書の「収入」欄に記載し、100万円以上の残高や借入時期を「資産等」欄に書かなければならない。返済すれば、「支出」欄に記載の必要がある(第12条①)。報告書又はこれに併せて提出すべき領収書等を提出しなかった者、記載すべき事項の記載をしなかった者、虚偽の記入をした者は5年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処せられ公民権を停止される(第25条)。鴨下氏が衆院議長に提出した資産等報告書の貸付金と収支報告書の借入金とは、まったく整合していない。「ずさんと言われれば、甘んじて受けなければならない。反省している」(鴨下氏本人)で済む問題ではない

何のために政治資金収支報告書をつくり、公表することとしているのか。政治資金の流れを国民に公開して、国民の不断の監視と批判を仰ぐということを通じて、政治活動の公正と公明を確保し、わが国における民主政治が健全に発達するようにすることを目的としているということだ誰もが「記載ミス」し、次から次へ訂正する報告書とはなにか。もうこれ以上、安倍自公政権をこのままにするわけにはいかない。

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