プロメテウスの政治経済コラム

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テロ特措法  給油支援した米艦船は何を  結局は、米軍の攻撃戦略に加担することに

2007-09-06 17:57:05 | 政治経済
アフガニスタンでのテロとの戦いから、日本が抜けることは本当に国益に反することなのか。テロ特措法による約6年間の米国「対テロ」戦争支援なるものが何をもたらしたかの総決算が必要である。
国際的な司法と警察によるテロリストの捜索と捕捉という努力を尽くすことなしに、アメリカは報復戦争という手段で「対テロ」戦争を開始した。その結果、アフガニスタンがどうなっているか。一昨年、昨年と状況がずっと悪化して、南部やパキスタン国境地帯でタリバンが復活する。それにたいし米軍を中心に軍事掃討作戦をやる。民間人の死者がますます増える。そこでさらにタリバンが影響力を増やすという悪循環が広がっている。米英軍などの死者が増え、民間人の死者も増え、結局、戦争ではテロはなくならないということが結論である。「対テロ」戦争は、もともとテロをなくすことに目的があるのではない。果てしない戦争の継続が目的である。軍産複合体の永続的な繁栄が保証されるからだ

テロ特措法に基づき海上自衛隊が給油支援した米艦船は、「アフガン復興」のために何をしているのか。“テロ勢力の海上移動阻止”を掲げた「海上阻止行動」(MSO)をおこなっているということになっている。中東を作戦区域とする米中央軍によると、海自はMSO全体の艦船用燃料の40%を提供している。しかし、給油量はイラク戦争後の03年5月を境に急減し、現在は月あたり2千―3千キロリットルの水準で推移している。MSOが縮小しているのは、「対テロ」で効果らしいものを挙げていないからである。MSOの成果として麻薬の押収などがあったというが、テロリストの拘束はいまだに報告されていない(「しんぶん赤旗」8月26日)。

テロ特措法に基づく給油活動は、実際はアフガンだけではなくて、イラク戦争をおこなっているアメリカ軍の艦船にもおこなっているということが明らかになっている米軍としてはイラク戦争もアフガン戦争も中央軍が一体となってやっているわけであり、そこに給油しているわけだから、アフガンだけでなくイラク戦争にも使われているということになる。テロ特措法からみれば、明らかな脱法的な運用である。
今年一月、米軍は「対テロ戦争」の一環としてソマリア南部を空爆し、多数の民間人が犠牲になった。中東を作戦区域とする米中央海軍は、「(国際テロ組織)アルカイダや他のテロ組織が海を潜在的な逃走ルートとして使用するのを防ぐため」、米軍主導の多国籍任務部隊CTF150をソマリア沖に展開させた。海上自衛隊部隊は、CTF150に給油活動をしており、事実上、米軍によるアフリカ・ソマリア攻撃に加担した。これも、テロ特措法からみれば、明らかな脱法的な運用である。「対テロ」を口実にした米軍の一方的な対ソマリア攻撃に対しては国際社会から強い非難の声が上がり、米議会でも攻撃の根拠をめぐって議論になった(「しんぶん赤旗」9月6日)。

テロ特措法とは、中東を作戦区域とする米中央軍艦船に給油サービスを提供するということであり、結局は、地球規模の米軍支援を可能にする報復戦争支援法であるということだ自衛隊は「テロ根絶」とは無縁の、米軍がインド洋の制海権を握るための活動の一端を担っているということだ。アメリカと同盟国だけの要請を軽々しく国際的要請などということをやめてもらいたい。私たちは決して誤魔化されてはいけない。

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